結局今日は「東新宿」~「春日」間(片道ものの10分ほどの距離なのだが、後楽園あたりで数時間も時間を潰すわけにもいかず)を2往復した。
午前中、小石川植物園にて相方のCD&コンサート用の写真撮影。フリーカメラマンであるT君の撮る写真は波動が高く良い写真で有名。雲一つない晴天でまさに屋外撮影日和。何だか昨日までとはうって変わって空気が妙に気持ちよく、「春が間近である」ことを感じさせてくれる。撮影は1時間半ほどで終え、東京ドーム・シティ「La Qua」のインド料理レストランにて3人で食事をし、一旦自宅に戻る。
夕方まで雑用をこなす。BGMはバルトーク。彼の音楽は知性に溢れている。と同時にとても人間臭い温かみをあわせ持つ。10年ほど前ブダペストを訪れた際、バルトークの生家にも足を運んだのだが、晩年亡命先のアメリカで貧困のうちに亡くなってしまうとは到底信じられないほど立派でお洒落でかつ健康的な家だったことを思い出す。彼の作風にはヨーロッパの持つ貴族的で退廃的なニュアンスが僕には感じられるのだが、その「暗さ」が明るいアメリカの大衆には受け入れ難いものだったのかもしれない、などと想いを馳せながら、バルトーク自身が1935年に録音したSP復刻の「アレグロ・バルバロ」を聴く。音はさすがに貧しい。しかし、やっぱりかっこいい。これはクラシックというより「ロック・ミュージック」である。
ところで、今夜は東京ドームにてThe Policeの再結成コンサート。僕が高校生~大学生当時が彼らの全盛期であり、On Timeで聴いてきた僕にとっては奇跡の来日公演である。飛び切りの「期待」を胸に秘めながら再度「春日」に向かう。
S席とはいえやはりドームは大きい。ステージが斜め左前方奥の奥、という感じ。大型のスーパーヴィジョンがなければ人形が動いているようにしか見えない。そして、音の具合も残念ながら予想通り。音がこもってただうるさいだけ・・・(もう見納めかもしれないというくらいのバンドでないなら、むしろDVDで観たほうが余程良い音で臨場感をもって聴けるかもしれない)。とはいえ、アンコール含めて2時間に満たないこの大人のバンドのライブはその場に居合わせたという事実に意味があるとのだと自分に言い聞かせて3人に集中する。
1曲目のMessage In A BottleからいきなりThe Policeの世界に誘われるわけだが、正直どうもいまひとつ乗り切れない。1時間ほど経過し、最後のRoxanneに至ってようやく火が着き出した感じ。その後はアンコールとしてKing Of Pain、So Lonely、Every Breath You Take、Next To Youと続くのだが、今夜のハイライトはこの一連のアンコールであったように僕は思う。
86年にポリスが崩壊状態になって以降、Stingのみがソロ活動で脚光を浴び、今の若い人たちにはThe Police=Stingという図式が成り立ち、他の二人はテクニックさえあれば誰でも良いのではないかという誤解がひょっとするとあるかもしれないが、 So Lonelyの間奏での壮絶なインストゥルメンタル・バトルを聴くと、ギターはAndy Summers、そしてパーカッションはStewart Coplandでなければならなかった理由がよくわかる。そういう意味ではStingはStingであり、The PoliceはあくまでThe Policeなのである。
1978年リリースのポリスのデビュー・アルバム。今の時代にも通じるSolidで味のある響きを聴くと発表から既に30年も経過しているとは思えない。The PoliceがSting, Summers & Copelandの3人でなければならなかった理由がよくわかる。
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