幸せよ、永遠に・・・

kronos_quartet_bill_evans.jpg僕の人生は42歳で急展開した。
僕が結婚したのは44歳の時だった。適齢期が遅くなっている現代でも一般的な概念からいうと遅い部類に入るだろう。まったくもってそれまでは想像できなかった世界が展開する。もちろん生まれる前からこのことを想定して生まれてきたのだろうが、それにしてもこの3年間は山あり谷ありで、あっという間の、そして怒涛のような時間だった。

文章やイメージというものは、閃くときはあっという間に形になるのだが、そうでないときはどんなに考え込んでもうまくまとまらない。2,3日置こうが、1週間待とうがその状態はほぼ変わらず。多分、自身の深層心理で納得していないのだろう、それにしてもどこからどう書き始めていいのかわからないのである。いずれ(といっても時間は過ぎゆくのでそうそうは待てないのだが)インスピレーションが舞い降りてくることを期待してリラックスしてみるしかないか・・・。

ところで、長年の友人が結婚式を挙げた。彼の年齢も42歳。僕の人生が180度変転したときと同年齢だ。幸せそうなカップルを見ているともちらもハッピーな気分にさせられる。良かった・・・。人生に早いも遅いもない。歴史上遅咲きの天才は多い。音楽家でいえばブルックナーなどその最たる例で、最初の交響曲を発表したのがまさに42歳のときで、以降孤高の交響曲作曲家として神の域にまで上り詰めることになる。ブルックナーは残念ながら結婚できなかったのだが、彼は彼の役割を全うできたのだから結果良かったのだと思う。

ともかく、友人には結婚しても決して守りに入らず、果敢にチャレンジしてゆくような男であり続けてほしい。めでたい日を記念して、ビル・エヴァンスの名曲をクロノス・カルテットがエディ・ゴメスらと録音した音盤を・・・。

Music Of Bill Evans
Kronos Quartet
With special guests
Eddie Gomez & Jim Hall

クロノス・カルテットの活躍は目覚しいものがある。特に、ジャンルを問わず、現代の優れた音楽家たちとコラボレートする、そのチャレンジングな姿勢はとても魅力的。

それにしてもビル・エヴァンス作品の懐の深さをあらためて認識させられる。各々の楽曲が、いわゆるクラシック音楽の弦楽四重奏曲として生まれ変わっており、聴いていて清清しい気持ちになる。こういう音楽を「普遍的」というのだろう。「幸せ」よ、永遠に・・・。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
>文章やイメージというものは、閃くときはあっという間に形になるのだが、そうでないときはどんなに考え込んでもうまくまとまらない。
そういう状況、私にも経験が多く、よくわかります。おそらくそういう時は、クラシックだけを極めた人が、急にジャズをやろうとする大変さのようなものだとお察しいたします(笑)。
ジャズにはジャズの、ロックにはロックの、野球には野球の、サッカーにはサッカーの、囲碁には囲碁の、将棋には将棋の、麻雀には麻雀の、独自に発達した文化があり、それぞれの常識は違っていることも多いのですが、驚くほど共通の真理もあり、それを知ることで、自分の属する世界を眺めているだけではわからなかった気付きは多いものです。
>クロノス・カルテットの活躍は目覚しいものがある。特に、ジャンルを問わず、現代の優れた音楽家たちとコラボレートする、そのチャレンジングな姿勢はとても魅力的。
同感です。幸せな気持ちになれるご紹介の盤、私も大好きです。この歳になって、彼らの活動の意味の重さをより深く理解できるようになりました。
>ビル・エヴァンス作品の懐の深さをあらためて認識させられる。
それについても同感です。
せっかくブルックナーの話題がありましたので、偶々昨日、久しぶりに聴き直して偉大さを再認識した盤を・・・。
ブルックナー:交響曲第8番 カール・ベーム/ウィーン・フィル
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2503126
何だ、けっ!と思う人はそれで結構。私にとっては学生の時からの何十年来の付き合いで、この曲の最高の名盤のひとつという信念は、いささかも揺らいでいません。他の世界を知った今でも・・・。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>それぞれの常識は違っていることも多いのですが、驚くほど共通の真理もあり、それを知ることで、自分の属する世界を眺めているだけではわからなかった気付きは多いものです。
同感です。
>この歳になって、彼らの活動の意味の重さをより深く理解できるようになりました。
本当ですよね、ある程度歳をとらないとわからないこともありますね。
ご紹介のベームのブルックナーなどは某評論家の批評に惑わされて、これまで完全に無視していたものです。以前からベームの素晴らしさを説かれている雅之さんのご意見ですから、先入観を捨てて真剣に対峙してみようと思います。
どんなことでも虚心坦懐に臨んでみることって重要ですよね。ありがとうございます。

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