まったくもって勉強不足でジャズには詳しくない。多くは語れないくせに、時折名盤といわれる音盤を取り出して、黄昏時か夜もほどよく更けた頃に耳を傾ける時がある。
何だろうなぁ、クラシック音楽にはない「ルールに収まり切らない」魅力がある。もちろんスタジオでの録音の場合きちっとまとまった形でレコーディングされているゆえ、ライブ演奏の即興のような醍醐味は薄れるのだけど。
ビル・エヴァンスが得意としたインタープレイ。すなわち演奏中にお互いの音に反応し、相手を刺激しながらより高次の音楽を生み出していくという方法。そう、ぶつかり合うことで、双方が現地点より一層高い地点に登り詰めるということだ。ライバルの存在があり、人は切磋琢磨し、成長する。
周りの音をよく聴き(周りの意見や話をよく聴き)、よりよく対話できることで、誰かと共にいる喜び、そして相手を受け入れることができたという楽しみ、さらに自分も相手に何かを返すことができたという三重の喜びで満たされる。ちょっとニュアンスは異なるだろうが、傾聴と受容の重要さをここでも教えてくれる。
エヴァンスの影響を受けたピアニスト、ドン・フリードマン。彼が1962年に録音した最高傑作の名に相応しいアルバムをひとつ・・・(ほぼ同時期に録音された新生ビル・エヴァンス・トリオの「ムーン・ビームス」の方が満月の夜にぴったりかとも思ったのだが)。
Don Friedman Trio:Circle Waltz(1962.5.14、ニューヨークでの録音)
Personnel
Don Friedman(p)
Chuck Israels(b)
Pete La Roca(ds)
ドン・フリードマン・トリオのインタープレイはエヴァンス・トリオのそれと同じくらい熱を帯びている。初めて聴いたとき、てっきりビル・エヴァンス・トリオの演奏だろうと思ったくらいだ。そこには、スコット・ラファロ亡き後、エヴァンス・トリオの一員になるチャック・イスラエルズの存在も見逃せない。何より美しいのはタイトル・トラック「サークル・ワルツ」。エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」に対抗するかのような音楽。居ても立ってもいられなくなるほどの叙情と哀愁。
こんばんは。
今回は、ご紹介の盤も未聴でまったく勉強不足、本文で勉強させていただきました。
日本ではジャズの音盤というと、圧倒的にピアノ・トリオが人気のようですね。それも白人系が・・・、それはジャズの本流とは違うかも知れませんが、固いこと言わず、たまには理屈抜きで音楽に身を委ねたいものです。
あのー、今夜はコメント書く力量が無いので、得意のジャケ買いで、本当に中身の音楽も録音も素晴らしかった白人系ピアノ・トリオのCD、2枚ご紹介していいですか? 東京の単身赴任時代、秋葉原の石丸電気で買って楽しんで聴いていたもの。
「ブルー・プレリュード」カレル・ボエリー・トリオ
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%89-%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AA/dp/B000BU6PYO/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=music&qid=1257252822&sr=1-1
「バラード・イン・ブルー」ルイス・ヴァン・ダイク・トリオ
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC-%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AA/dp/B0007VLW7M/ref=pd_sim_m_2
2枚共、震い付きたくなるほどいいですよ!(ジャケットではなく音楽のことですよ!)
>雅之様
こんばんは。
そうですね、白人系のピアノ・トリオは人気ありますね。ほんとに理屈抜きに委ねましょうという感じです。
しかし、雅之さんのお得意のジャケ買いは特徴的な傾向がありますね。両方ともそそるジャケットです(笑)。もちろん中身もメチャクチャ気になります。