1969年

beatles_let_it_be_naked.jpg1969年、The Beatlesは後に”Let It Be”としてリリースされるアルバムのレコーディング、いわゆる”Get Back Session”をスタートする。1ヶ月にわたるスタジオ作業にもかかわらず、メンバー間の関係のもつれ等から一旦お蔵入りするが、1年以上後にフィル・スペクターの力を得て、The Beatlesのラスト・アルバムとして息を吹き返したのは有名な話。

何年か前に“Let It Be…Naked”と題し、The Beatlesが本来目指していたであろうなるべく原音に忠実な音を再現した(要は管弦楽や余計な化粧を施さない音楽作り)音盤がリリースされ、巷で随分取り沙汰された。個人的には過去の刷り込みのせいか、オリジナル盤に軍配を挙げたいところだが、よりタイトでアコースティックな”Naked”も手放せまい(そのあたりは”The Long and Winding Road”を比較するとわかりやすい。どちらも捨て難い)。ぎこちない関係の中でよくもこれだけの楽曲を残せたと正直思う。

miles_davis_in_a_silent_way.jpg同じ頃、King Crimsonは”In the Court of the Crimson King”を録音する。プログレッシブ・ロックというジャンルの創造に貢献した名作であり、今まで何度も言及しているゆえ、ここではあえて何も語るまい。40年という時を経た今でもその輝きは一切変わらない。

そして、ジャズ界では、Miles Davisが“In a Silent Way”及び”Bitches Brew”を録音、いよいよエレクトリック・ジャズの時代に突入してゆく。古いスタイルからの脱皮。常に挑戦的であったMilesのより過激な闘いが始まるのである(これらのアルバムは何の変哲もない、今でこそ当たり前の調子で演奏されているが、当時とすると相当革新的だっただろう)。

ちなみに、クラシック界では、古楽の復興が起こりつつあり、ロンドンにてデイヴィッド・マンロウが古楽コンソートを率い「春は来たりぬ/中世イタリアの音楽」を録音したのはこの年の春先だった。

munrow_ecco_la_primavera.jpg新しきものと旧きものが交わり、百花繚乱の景観を誇っていた1969年という年。来るべき70年代を見据えるが如く、様々なイノベーションが席巻したこの年は社会的に見ても相当刺激的な年だった。

1969年、ちょうど小学校に入学する前年。世間では、ザ・ドリフターズが一世を風靡していた。ドリフの「ズンドコ節」。今となっては笑い話だが、この曲には苦い(?)思い出がある(笑)。入学式の時だったと記憶する。式の後、僕は母と一緒に帰宅できると思っていた。ところが、一つ下の妹と僕を放って母は先に帰路についていた。そのことがわかった時のショックといったら・・・。当然、子どもながらに相当泣き喚いたようだが、そのことをズンドコ節の歌詞「学校帰りの森陰で・・・」に乗せて、父から後々まで随分茶化された(僕が少しばかり心を開けない原因の一つにこのことがあるのかもしれない・・・笑)。

まぁ、よい。1969年は素晴らしい1年だったことが、振り返ることで理解できたから。

ちなみに、Led Zeppelinのデビューも同年。そして何より妻が生まれたのも1969年である。僕にとっては奇跡の年といえるかもしれない(笑)。


3 COMMENTS

雅之

おはようございます。
>様々なイノベーションが席巻したこの年は社会的に見ても相当刺激的な年だった。
1969年といえば、私は7歳でしたが、何といってもアポロ11号の人類初の月面着陸が最も記憶に残っている出来事でした。
地球から384,000kmも離れた月に人類が降り立つなんて!! 信じられます? 真剣に考えたことあります?(笑) あの程度のコンピューターしかなかった時代にですよ!! 今のスペース・シャトルなんか、たかだか地上200kmくらいの高度でしか飛んでないのですから。
http://www12.plala.or.jp/m-light/Distance.htm
http://www.youtube.com/watch?v=B882w2gC22s&feature=related
(1969年7月21日 アームストロング船長)
I’m, ah… at the foot of the ladder. The LM footpads are only, ah… ah… depressed in the surface about, ah…. 1 or 2 inches, although the surface appears to be, ah… very, very fine grained, as you get close to it. It’s almost like a powder. (The) ground mass, ah… is very fine.
「いま着陸船の脚の上に立っている。脚は月面に1インチか2インチほど沈んでいるが、月の表面は近づいて見るとかなり…、かなりなめらかだ。ほとんど粉のように見える。月面ははっきりと見えている」
I’m going to step off the LM now.
「これより着陸船から足を踏み降ろす・・・」
>僕にとっては奇跡の年といえるかもしれない
いや、人類みんなにとっても奇跡の年です。
That’s one small step for (a) man, one giant leap for mankind.
「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」
子供心にも、じつに感動的な瞬間でした。
奥様は、本当に輝かしいよい年にお生まれになったのですね!! 羨ましいです。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>何といってもアポロ11号の人類初の月面着陸
確かに!ただし、僕にはあまり記憶がないんですよね・・・。
>「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」
名言ですね!

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父より

ばあちゃんは入学式の帰りに2人を置いて帰った記憶はないと言ってるぞぅ いつのことか正確に思いだせぇ(笑)こちらも茶化して唄った記憶は無いがこれは歳だからなんともいえないが ばあちゃんは入学式に何故妹がいてなぜ子供を置いておく必要があるのか分らないと言っている

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