Stand By Me

lennon_rocknroll.jpg女の寿命が男より長いのは、感情を自由に表現するのが容易いからだという説がある。男は概して子どものころからじっと我慢する癖がついており、思ったことをすべて思った通りに発することができない弱さがあるのだと。

特に、「感情」は感じたその時に表に出した方が良いことは明らかだ。もちろんビジネス上など、TPOをわきまえ表現の可否は判断すべきだが、少なくとも抑圧、抑制することは精神衛生上決して良いとはいえない。

僕は基本的に我慢強い方だが、時に理不尽な仕打ちに遭遇すると居ても立ってもいられないほど爆発することがかつてはあった。歳をとってそういうことは全くなくなったが、果たして自分が本当に事態を受容できているのかどうかは疑わしい。

「許す」ことは人類共通のテーマだと思うが、エゴがある以上、なかなか人を無条件に許すことは難しい。ただし、「許す」努力はした方が良い。その人を理解
しようと努力すること。わからなければとことん話し合うこと。そして「思っていること」をきちんとぶつけること。

そう、やっぱり原点は「コミュニケーション」なのである。

JohnもPaulも、そしてGeorgeもRingoももっともっとじっくり本音で話し合えば良かったろうに・・・。The Beatlesが解散した遠因に、JohnとYokoとのことが取り沙汰されることが多い。確かに、The Beatles後期の活動の中でオノ・ヨーコの存在は余計だと思っていたことは僕にもあった。しかしながら、Johnにとってヨーコは一時も離れることのできない、なくてはならない愛する存在だったのだから、周辺がその是非をとやかく言う権利は全くないことにある時気づき、ひょっとするとヨーコの存在があったからこそのJohn Lennonであり、The Beatlesだったんだろうと今では思えている。

初めてJohnの歌う”Stand By Me”を聴いた時、しびれた。一体誰に対しての「叫び」なのか・・・。

beatles_1.jpgひとりの人間としてのJohn Lennonにはいろいろと問題もあったようだ。1972,3年頃、ヨーコとの関係が冷え冷えする中、一時期ある中国人女性と関係を深めたJohnだが、結局ヨーコのことが忘れられなかったようで、その時に歌ったのが、Ben E. King作の名作”Stand By Me”だった。本家本元のものより圧倒的な存在感とエネルギーをもつLennonバージョンは、感情の自由な発露であり、聴いていてまことにすっきりする(ソロになってからのLennonの歌はどれも生々しい)。

John Lennon:Rock ‘n’ Roll

ついでに、The Beatlesのコンピレーション盤も久しぶりに聴く。泣く子も黙る名曲揃いだが、Johnの剥き出しのパワーには少々負けるかな、そんなようにも思える・・・。

The Beatles:1

神よ、許し給え・・・(笑)


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
先日、「バンド臨終図巻」(著者:速水健朗・円堂都司昭・栗原裕一郎・大山くまお・成松哲 出版社:河出書房新社)という本を読みました。
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89%E8%87%A8%E7%B5%82%E5%9B%B3%E5%B7%BB-%E9%80%9F%E6%B0%B4%E5%81%A5%E6%9C%97/dp/4309271855/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1276201358&sr=1-1
偶然目に留まった、精神科医の斎藤環氏による書評が、何となく心から離れなかったからです。
「散開」「凍結」「撤収」……バンド解散は様々に呼ばれる。栄華を極めたバンドも、いずれ終わりを迎える。
(中略)
バンドとは不思議な生命体だ。幼馴染(なじ)みや気の合う仲間がはじめた演奏が、魔法のようなケミストリーとともに素晴らしい楽曲を生み出していく。バンドの蜜月期間だ。やがて「倦怠(けんたい)期」となり「仮面夫婦」になるにつれ、魔法は醒(さ)めていく。
(中略)
バンドの結成は偶然にすぎないが、解散は常に必然だという。そう、生が偶然であり死が必然であるように。興味深いのは、まさにその「必然」のメカニズムなのだ。・・・・・・(以下略)asahi.comより
http://book.asahi.com/review/TKY201006010110.html
一世風靡するバンドとは、台風のようなものかもしれません。雨雲が集まり熱帯低気圧になり、発達して台風になり、大型で猛烈に強くなり、衰え温帯低気圧になり、やがて消滅する・・・、これは自然の掟です。
長く続いているバンドは、だいたい梅雨前線か秋雨前線みたいなものですかね(夫婦も? 一生じめじめとね、しかし中には消滅しかかって穏やかな晴天になっている前線もある?・・・爆)。
ところが、突然南の方から新たに湿った空気が入り込み(オノ・ヨーコみたいな愛人?)、メンバーが刺激され、寒冷前線となり活動が再活発化し、バンドの状態が不安定になり、落雷や雹や突風や集中豪雨を巻き起こすことがあります。バンド末期のパターンには、こういう状態もありますね(笑)。そういう時期にも、不思議な緊張感のある、真の傑作が生まれたりするものです。
でも、そんな天気はいつまでも続くわけがありません。
“Stand By Me”という歌はJohn Lennonよりも映画のほうに個人的な思い出が詰まっており、忘れられません。この映画も、様々なバンドの初期と、少年たちの冒険話が、オーバーラップしそうです。
ところでビートルズ、そろそろSACDや板起こしのCDが、出てこないものでしょうか? どうも最近のEMIのやることは、ピントがずれているような気がしてならないのですが・・・。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
「バンド臨終図巻」、面白そうですね。
>バンドの結成は偶然にすぎないが、解散は常に必然だという。そう、生が偶然であり死が必然であるように。興味深いのは、まさにその「必然」のメカニズムなのだ。
この言葉気に入りました。深いです。それと雅之さんのおっしゃる「台風」というのも言い得てますね。
「スタンド・バイ・ミー」は映画も良かったですよね。僕も好きです。
>ところでビートルズ、そろそろSACDや板起こしのCDが、出てこないものでしょうか?
これは僕も同感です。
去年リリースされたリマスター盤は結局買っていませんが、SACDになったらやっぱり欲しいかなと思います。

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