8月8日にちなみ

haydn_88_abendroth.jpg8月8日はやはり特別な日である。何より人が人の存在なくして生きられないということを痛感した日。そこには身近な家族もいて、久しぶりの再会にもかかわらず一瞬で当時の関係に戻れる仲間もいて、何とも表現しがたい、大袈裟に言うと人間としてこの時代に生まれ、こういう人たちに出逢えたという偶然というか必然が本当に身に染みたひとときだった。

T’SUKI sur la merでの3周年パーティが無事終了した。150名近くもの方々にご参加いただき、ともに楽しい時間をすごさせていただいた。とにかく多くの方々に支えられて生きているということを実感。ありがとうございました。何より両親、義父母の喜びようを目のあたりにすることが微笑ましい。連綿と続く命の大切さにあらためて感動する。

それに新宿駅で偶然ともみさんに遭遇したこと。確かちょうど1年前にお会いして以来だろうか。「ミセス・ピアニスト」というブログも長い間更新されていないのでどうされているのかと思っていた矢先の再会だったので嬉しかった。

ハイドン:交響曲第88番ト長調「V字」&第97番ハ長調
ヘルマン・アーベントロート指揮ライプツィヒ放送交響楽団、ベルリン放送交響楽団

8月8日にちなみ、久しぶりにハイドンの第88番シンフォニーを聴きながら、この作品の終楽章がベートーヴェンの第8交響曲に深く影響を与えているのではないかと感じた(突拍子もない、あくまで直感的な感想だが)。ベートーヴェンのこの交響曲の成り立ちにはまだまだ未知のことが多い。9曲のシンフォニーの中で唯一誰にも献呈されていないこと、作曲者本人は最高の出来栄えだと満足していたにもかかわらず、当時の聴衆の耳にはあまりにも小規模で頼りなげに映ったのか、反応はあまりよくなかったこと。そう、第7交響曲と第9交響曲の架け橋的な作品であるにもかかわらず、少なくとも「形」はベートーヴェンの代名詞である「苦悩から喚起へ」を踏襲せず、常時「明るい」雰囲気に溢れている作品であることも意味深だ。

一方、ハイドンの第88番こそある意味ベートーヴェン以上に、壁にぶつかったあと、いかに乗り越えるか、そしていかに勝利を得るかを表現した音楽のように聴こえるところがこのアーベントロート盤の「味なところ」といえるか。

不思議な、宇宙を連想する、極めて内容の濃い音楽だ・・・。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
恐縮ですが少々昨日のコメントの続きを・・・。
愛知とし子様とお父様による越路吹雪版「愛の讃歌」、さぞかし感動的だったことでしょうね。
そこでまた思いました。
楽譜どおりって、音楽での「感動」とは何の関係もないと・・・。
この曲、楽譜どおりに歌い、弾く馬鹿は、世界のどこにもいません。
特に、越路吹雪版でいう次の箇所などは・・・。
ほほとほほ寄せて 燃えるくちづけを かわす喜び
あなたと二人で 暮らせるものなら 何にもいらない
何にもいらない あなたと二人で 生きてゆくのよ
あたしの願いは ただそれだけよ あなたと二人
http://bunbun.boo.jp/okera/aaoo/ai_sanka.htm
楽譜に忠実だと、ご覧の通りこの部分、単に全部8分音符の羅列に過ぎませんよね。
前回岡本さんがおっしゃった、
>どんなジャンルの音楽せよ、要はいかに心に響くかがその音楽の優劣を決めるということだろう。
は、まさにおっしゃるとおりで、この曲も、まさにそうだと思います。
ハイドンの第88番「V字」、前にもコメントしましたが、フルトヴェングラー、トスカニーニ、ワルター、クナッパーツヴッシュ、クレンペラー、ベーム、ヨッフム、そして本日ご紹介のアーベントロートなどと、往年の大指揮者の多くが録音を遺していることから見ても、ハイドンの交響曲の中で、最も玄人の眼鏡でも傑作の基準にかなっているのかもしれません。
アーベントロートも名演ですよね。
>この作品の終楽章がベートーヴェンの第8交響曲に深く影響を与えているのではないかと感じた
そうかもしれません!! もう少しこの件、研究してみたいですね。
ちなみに「八」は名古屋では「末広がり」で、「七」より縁起が良いと好む人が多いです。名古屋市のマークにもなっています。
私の好きなチェコのヴァイオリニスト ヨゼフ・スーク は1929年8月8日生まれ(私の父の誕生日は1929年7月7日なのでよく覚えている)です。
そこで、本日私のおススメCDは、
ドヴォルザーク「わが祖父の父の教えたまいし歌」~ヴァイオリン、ヴィオラとピアノのための歌曲編曲集 スーク、アシュケナージ
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3790096
より、
・ジプシーの歌 Op.55の中の「私の鐘が鳴り響く、愛の讃歌」です。
今朝は私の選曲も、かなりマニアっぽいでしょ(笑)。

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんわ。
昨日の「人間力」発見日記でもご報告しましたが、大変に素晴らしい「愛の讃歌」でした(笑)。いろいろな方のブログを読んでみても一番人気だったようです。
>ハイドンの交響曲の中で、最も玄人の眼鏡でも傑作の基準にかなっているのかもしれません。
そうですよね、本当に名作だと思います。おそらく細かく研究すると意外に「知らない事実」がたくさん出てくる楽曲かもしれません。
>・ジプシーの歌 Op.55の中の「私の鐘が鳴り響く、愛の讃歌」です。
これまた相当マニアックですね!!聴いてみたくなりました、いつもありがとうございます。

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