君は僕の命・・・

schumann_lieder_dieskau.jpg「愛するクララ、昨日の朝早く、僕はおよそ20ページほどの音楽(いくらか新しいもの)を書きました。それについて僕が君に言えることは、それを書いていたとき、僕は喜びで笑ったり涙を流したりしたというだけです」。
(ロベルトからクララへの手紙)

「愛するロベルト、あなたにもう一度お目にかかりたいのですが。・・・あなたが何をお書きになっているのか知りたいのです。とても知りたいのです。どうか教えてください。四重奏曲ですか、あるいは序曲ですか、あるいはことによったら交響曲ですか。最初の手紙で知らせてください。ひょっとすると―結婚のプレゼントかしら?」
(クララからロベルトへの手紙)

「ここしばらくの間、私はある特別な考えを心に抱いていました。作品25は結婚のプレゼントにすべきだということです。ですから、できるだけ注意深く、品よくデザインした飾りのある装丁をお願いします。・・・私が大きな思い違いをしていないならば、これらの歌は、すぐに多くの人達の心をとらえ、歌われるようになるでしょう。これらの歌を聴いた人たちは誰でも、私にそう言います。そればかりでなく、作曲者はいつも、心から湧き出たものがどのような効果をもっているかを知っています・・・」。
(ロベルトから出版業者キストナーへの手紙)
「作曲家別名曲解説ライブラリー23◎シューマン」

ロベルト・シューマンのそれこそ繊細な心を如実に表した手紙である。この手紙を認めさせた名歌曲集「ミルテの花」作品25を聴く。
第1曲『献呈』は、リストによるピアノ編曲版も有名だが、恋人への思いに溢れた歌詞がまた魅力的。

シューマン:ミルテの花作品25
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
クリストフ・エッシェンバッハ(ピアノ)

君は僕の魂、君は僕の命、喜び、悲しみ、僕の住む大地、憧れの青空・・・。1840年2月作。ようやく結婚が認められたというロベルトの心境が具に表されたリュッケルトによる素敵な歌。一昨日は義父の誕生日会、昨日は2周年パーティ、そして本日は東京ディズニーランド。久しぶりに家族水入らずで過ごす日々。すべてが貴重な出会いであり、深い縁でつながっていることを実感する。

あらためてありがとうございます。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
F=ディースカウとエッシェンバッハによるこの時期のシューマン録音は、私も奇跡的ともいえる名演だと思っています・・・、というクラヲタ話はこのくらいにしておいて、私のコメントも夏休みモードにしましょう(笑)。
ところで、この「ミルテの花」って、どんな花かご存じでしょうか?
ギンバイカ(銀梅花、学名:Myrtus communis)
http://www.yasashi.info/ki_00011.htm
・・・・・・古代ギリシアでは豊穣の女神デーメーテールと愛と美と性の女神アプロディーテーに捧げる花とされた。古代ローマでは愛と美の女神ウェヌスに捧げる花とされ、結婚式に用いられる他、ウェヌスを祀るウェネラリア祭では女性たちがギンバイカの花冠を頭に被って公共浴場で入浴した。その後も結婚式などの祝い事に使われ、愛や不死、純潔を象徴するともされて花嫁のブーケに使われる。
ユダヤ教ではハダス(ヘブライ語:הדס)と呼び、「仮庵の祭り」で新年初めての降雨を祈願する儀式に用いる四種の植物の1つとされる。ユダヤ教の神秘学カバラでは男性原理を表すとされ、新床に入る花婿にギンバイカの枝を与えることがあった。生命の樹の第六のセフィラであるティファレトや、エデンの園とその香りの象徴ともされる。・・・・・・ウィキペディアより
今、日本ではもう何回目かの「ポンペイ展」が当地にも来ていて、私も一昨日行きました。
http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji100624.html
またかと思われるかもしれませんが、毎回日本に来る展示物は少しずつ違い、新たな発見がいくつもありました。
《はるか二千年もの昔、日本列島が弥生時代であったころ。高度に発達した古代ローマ文明のすべてが凝縮された「奇跡の街」ポンペイ》の遺品のいくつかにも、「ミルテの花」の装飾を、もうちゃんと確認することができます。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
「ミルテの花」というのがどんな花なのかは知っておりましたが、実際に見たことがあるかどうかは記憶が定かでありません。しかし、あの時期のシューマンの目に止まったほどの詩でモチーフにされているわけですから本当に美しいのでしょうね。
>《はるか二千年もの昔、日本列島が弥生時代であったころ。高度に発達した古代ローマ文明のすべてが凝縮された「奇跡の街」ポンペイ》の遺品のいくつかにも、「ミルテの花」の装飾を、もうちゃんと確認することができます。
へぇ、そうなんですね!古代遺跡をそういう観点では見たことなかったので興味深いです。お花というのは実に奥深いんですね。またひとつ勉強になりました。ありがとうございます。

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