それは誰かに必要とされていることを実感する時。
あるいはそこに大切な誰かが存在する時。
もう20年近く前になるだろうか・・・。日曜日の午前中、NHK-FMの「20世紀の名演奏」という番組を時折聴いていた。昨年惜しくも逝去された黒田恭一氏の名解説によるこのプログラムでは音盤化されていないライブ録音なども多数紹介され、あえてエアチェックすることはなかったものの、いつも楽しみに拝聴していた。この番組のテーマ音楽が好きで、いろいろと探してみたもののわからず、ようやくフィルハーモニア・アンサンブル・ベルリンによるボッケリーニの弦楽五重奏曲作品37-1の第2楽章だということがわかったときは、すでに廃盤のようで、どこのショップを探して回っても見つからない状況が続いた。かの演奏どころか作品37-1自体を収録している音盤がまずない。
ある時偶然「第11回アフィニス夏の音楽祭」の模様を収録したアフィニス・サウンド・レポートNo.20を手に入れたら、何とそこにこのボッケリーニのこの名曲が入っていたが、残念ながら演奏そのものが僕の好みでない。ちなみに、Brilliantレーベルでラ・マニフィカ・コミュニタによるボッケリーニの全集がひとつずつリリースされているので、いずれ作品37もリリースされるだろうと心待ちにしているのだが、1年ほど前に発売された第8巻は作品37をすっ飛ばして作品39を収めているという状況・・・。何とかこの名曲をじっくり聴かせてもらえる機会はないものだろうか・・・(涙)。
ボッケリーニ:弦楽五重奏曲集第8巻
・3つの弦楽五重奏曲作品39
ラ・マニフィカ・コムニタ
そんなことを言いつつも・・・、このアンサンブルが紡ぎ出す音楽はいつも最高。オリジナル楽器を駆使した演奏は透明で軽やかで、ボッケリーニを楽しむのにこれ以上はないと思うほど。それに、最新の録音、最高の演奏でたったの650円というのも魅力。
イタリア生まれであるボッケリーニの音楽は、少し前のヴィヴァルディの影響を少々感じさせながら、同時代のハイドンやモーツァルトと違った意味で普遍性を持つ。明るさの中に翳りを秘めた独自の世界観をもつ音楽たちなのである。昨日、雅之さんから頂いた言葉「すべてのネガティブはポジティブに通ず」が思い出される。
[…] 長いこと廃盤のままで、聴きたくてもどうにもならなかった音盤がようやく手に入った。 そう、NHK-FMで黒田恭一さんが解説をした「20世紀の名演奏」のテーマ音楽に使用されていたフィ […]