パロディとコラージュ

csn&y_deja_vu.jpg例えば、レッド・ツェッペリン。彼らは60年代最後の年からシーンに出てきまして、ブルースを心から信奉している人に言わせると「こいつらは何なんだ、ブルースをちゃんと理解しないで無茶苦茶に勝手に使っている」みたいに言われるかもしれませんけど、さっきも言ったように現代の芸術というのは喪失感、古い形式が消えた後の切羽詰まった感じから始まっているので、僕はそういうパロディ的、コラージュ的なブルースの使い方がむしろ面白いと思ってしまうんです。
菊地成孔+大谷能生「東京大学のアルバート・アイラー東大ジャズ講義録・キーワード編」P94

上記は、菊地氏と大谷氏による東大でのジャズ講義にゲストで招かれた飯野友幸氏の言葉である。まったくもって同感。先生がおっしゃるように過去の偉大な産物を切り貼りしながら、新しい芸術を生み出す手法というのはあって然るべきであり、大いに賛同する。物まねや引用、それこそが芸の第一歩であり、一流になればなるほど単なるパロディやコラージュに終わらず、独自のアートに変換し、最終的には後続の追随を許さないところまでに昇華させる天才技を成し遂げてしまう。レッド・ツェッペリンなどその最たる例。ツェッペリンの影響を受けたバンドは数多あるが、ツェッペリンを超越するどころかそれにすら追いつけないバンドがほとんど。だから誰に何を言われたって文句なし、ツェッペリンは偉大なり。

クラシック音楽では、ブルックナーもそう。ショスタコーヴィチもだ。彼らは皆孤高の存在(そういう意味ではタモリなどもそうかも。ああいう芸当は誰にも真似できない。彼の若き日の芸は最高に面白いし、そしてただ馬鹿笑いに終始するのでなく一言一句がウィットに富んでいるところがさすが。テレビ局各局のスポーツ番組のテーマ音楽の作曲者が古関裕而氏や黛敏郎氏という錚々たる大音楽家たちであることを今更ながら確認し、驚いている)。

ワークショップZEROの第一日目を終えた。
良いと思ったものは何でも採り入れた方が良い。パロディでもコラージュでも何でも試してみるのである。仕事も然り。すべては真似ごとから始まる。不要なプライドは捨て、素直に他者の力を導入すれば、シナジーが生まれる。独りで生きてるのではないのだから。

Crosby, Stills, Nash & Young:Déjà Vu

ブルース、フォーク、カントリー、ロック・・・、アメリカ20世紀音楽のあらゆるジャンルを模倣、吸収し、独自に昇華、あくまでクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングという音楽世界を築き上げた1970年の傑作アルバム。「東大アイラー」で採り上げられた歴史の一端をこの音盤で一気に振り返ることも可能というくらい気合の入った超名盤(ちょっと大袈裟かな・・・笑)。いや、いずれにしても、4人が対等に、かつバランス良く楽曲を提供し、しかも完璧なハーモニーとテクニックで演奏を披露しているところが抜群(個性派の異分子たちが一箇所に集合し、無理やり一時的に調和をみせてくれた、そんな歴史の一コマだろう。ゆえにあっという間に散会したが)。あと、ジョニ・ミッチェル(当時グラハム・ナッシュの恋人だった)がそこに交じって(彼女にとっては)空想の楽曲(「ウッドストック」)を提供している点も見逃せない。天才・・・。


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
アルバム”Déjà Vu”で思い出すのは、公開をリアルタイムで観た世代ではありませんが、映画『いちご白書』。『卒業』『明日に向かって撃て!』などとともに、アメリカン・ニューシネマの傑作群は、我々のように同世代でない人達が、「あの時代」の若い世代の「心」を理解するためには見逃せない作品と思います。・・・という話をしだすと、私の興味はどうしても日本の歌に向かいます(笑)。陳謝!!
『いちご白書』をもう一度
・・・・・・出す曲が売れず、行き詰っていた頃に荒井の曲を聞き、感銘を受けたばんばが最後の曲として荒井に書いてもらいたいと思い、荒井に会うためあらゆる伝を探し行き着いた所が松任谷正隆であった。そしてばんばと荒井が会い、荒井も当時あった学生運動を題材にする事がばんばと一致し、曲を書く事となった。その題材を提供したのが早大紛争を経験した音楽プロデューサー前田仁であった。・・・・・・ウィキペディアより
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%80%8E%E3%81%84%E3%81%A1%E3%81%94%E7%99%BD%E6%9B%B8%E3%80%8F%E3%82%92%E3%82%82%E3%81%86%E4%B8%80%E5%BA%A6
おススメ盤
「シンガーソングライターからの贈り物荒井由実作品集 いちご白書をもう一度」
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1906287
「卒業写真 」/ ハイ・ファイ・セット 、「まちぶせ」 / (三木聖子が歌ったほう、貴重!)「白いくつ下は似合わない 」/ アグネス・チャン ・・・少年時代に聴いた名曲の数々、みんなとても懐かしいです。ユーミンについては、あのころの歌が一番好きです。
みんな、あの時代があるから今がある!
“Déjà Vu”(既視感)に乾杯!!

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
>『いちご白書』をもう一度
いやいや、この歌は大好きでした。まだ僕は小学生でしたが、あの頃のバンバンが出ていたテレビのシーンも明確に憶えています。ほんとに良い曲だと思います。これだけでユーミン天才!!(もちろんこれだけじゃないですが・・・笑)
しかし、楽曲誕生の裏話までは知りませんでした。感謝します。
それにしても、あの頃のニューミュージックといわれる音楽は良かったですねぇ。少し前のガロの「学生街の喫茶店」なんかも思い出すだけで卒倒モノです。最高です。いずれブログの材料にしようと思っていた矢先だったので、感激です。
おススメ盤は残念ながら未聴です。

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