ルドルフ・バルシャイ追悼

shostakovich_chamber_symphonies_barshai.jpg水戸を抜け、大甕駅にようやく辿り着いた。日立市に初めて降り立った。道中、車窓から眺める風景は、僕が生まれ育った故郷とは同じようでいてまるで違った雰囲気。何といっても関東平野、そこには一切の山が見えない。見渡す限り地平線。空気は澄んで気持ち良いし、人影まばらな町並みものんびりした気に包まれていて、心地良い。東京に住んでいても2時間半ほど郊外に足を延ばせば、そこは異世界。北に行こうが、東に行こうが、あるいは西に進もうが、田園風景拡がる土地は人を癒してくれる。

帰宅後、所用で新宿の繁華街に出たが、昼間の静寂とは正反対の世界。話をしようにも落ち着いたカフェは見つからず、どこに入っても順番待ち。土曜日の夕刻ということもあろうが、それにしても何て人が多いことか。それだけで心が落ち着かない。心を鎮めたいときは人ごみを避け、独りになれるような場所に赴けばよい。

それと、やっぱり音楽。本当は「音浴」ではないが、生音に直に触れ、ただひたすら楽曲に寄り添うのがベストだが、そうもいかないときはお気に入りの音盤をごく小さな音で流して見る。微かな音の粒があっという間に別世界に誘ってくれる。

ルドルフ・バルシャイ追悼の意を込めて・・・。

ショスタコーヴィチ:
・室内交響曲作品110a(バルシャイ編)
・弦楽のための交響曲作品118a(バルシャイ編)
・室内交響曲作品83a(バルシャイ編)
・弦楽と木管のための交響曲作品73a(バルシャイ編)
シュニトケ:前奏曲~ドミトリー・ショスタコーヴィチの思い出
ショスタコーヴィチ:交響曲第15番作品141bis(デレヴィアンコ編)
ルドルフ・バルシャイ指揮ヨーロッパ室内管弦楽団
クレメラータ・ムジカ

ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲はどれも一筋縄ではいかない深さと高貴さをもつ。ことによると、それぞれが独自性を持つ15曲の交響曲以上に高度な「耳」を必要とする、作曲者の叡智を結集した最高傑作群が並べられているのではと思えるほど。弦楽器4本という単色の濃淡だけで描き出す世界は、それを芸術として再現するのは極めて難しいのではないかと素人ながら想像する(おそらく、よりわかりやすく、というか世間に広めるためにバルシャイ氏はショスタコーヴィチの承諾を得ながら、オーケストレーションを施す作業を進めたのではないか)。バルシャイは晩年にもミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団を振って室内交響曲集を録音しているが、経験値が違うのだろう、オーケストラのレベルは明らかにこのグラモフォン盤が上。特に、作品118a(第10弦楽四重奏曲の編曲版。この四重奏曲は僕が生まれた年1964年夏に生み出されていることもあり、僕なりに思い入れがある音楽)のアダージョなど、自身の追悼のために演奏しているのではないのかと思えるほどの静謐さの中に慟哭を感じさせてくれる至高の録音。美しい・・・。


4 COMMENTS

雅之

こんばんは。
今回ご紹介のCDは、名盤ですよね。
コントラバスを入れたop.110a、op. 118aをはじめとして、さらに木管・トランペット・ホルン・打楽器を加えた op. 83a など、バルシャイ編曲は見事ですし、演奏も切れ味、共感度ともに満足しています。対照的に、交響曲第15番のデレヴィアンコによる室内楽版編曲は、少し魅力不足ですかね。圧倒的に原曲のほうがいいです。
いずれにしても演奏がいいので、これらの曲の決定盤でしょう。
私にしては、捻りのない、まっとうなコメントになってしまいました。
今、世の中では尖閣画像のユーチューブへの流出が問題になっています。
政治ネタといえばショスタコ、熱烈なサッカー・ヲタクといえばショスタコ、パロディといえばショスタコということで、話題のYou Tubeで面白い画像をご紹介しましょう(強引! でも、この画像ご存じでしたか?)。
http://www.youtube.com/watch?v=-0jCWkM15ag&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=FO88-2ttavM&feature=related
なお、前回の話題で、ビートルズの赤盤&青盤のリマスターCD、私は買っていません。買ったのはDouble Fantasy のリマスターCDのほうだけです。書き方が悪く誤解を与えましたこと、お詫びします。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
ご紹介の映像、はじめてみました。これは爆笑です。
旬な話題に疎いので、ご紹介いただき嬉しいです。
いや、でもほんとに面白い!
>ビートルズの赤盤&青盤のリマスターCD、私は買っていません。
なるほど、わかりました。でも、昨年リリースされたオリジナル・アルバムのリマスター盤は買われたんですよね?

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雅之

おはようございます。
バルシャイ追悼の話題なのに失礼いたしました。高一の息子から教わった映像でした。
他にも、こんなのもあります(懲りない!)。
http://www.youtube.com/watch?v=NnQBsgGhX5I
http://www.youtube.com/watch?v=7SLFwFjQKTc&feature=related
ベートーヴェンの音楽などもそうですが、人間の行いは、大真面目になればなるほど、一方でパロディーの対象になってしまいます。
笑うも泣くも紙一重、悲喜劇なんていう言葉もあります。ショスタコは、そうした人間の本質をよくわかっていたのだと思っています。赤塚先生やタモリに通ずる何かを感じる時があります。
だから、「弔いは笑いで」なんていう発想があってもよいと思います。
現在の日本の世についても、笑い飛ばさないとやってられません。
>昨年リリースされたオリジナル・アルバムのリマスター盤は買われたんですよね?
残念ながら、こちらも買っておりません。SACDでは無かったのと、もっと買いたい音盤がたくさん有りましたもので・・・。
ところで、昨日、奈良の正倉院展で、19年ぶりに出展された世界唯一の古代の五絃琵琶、「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」の実物を初めて観て、感無量でした。その話題は、また後日に・・・。

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
いやーいずれも爆笑の作品をありがとうございます。
高校生のアンテナはさすがですね。
>赤塚先生やタモリに通ずる何かを感じる時があります。
そうですね。息の長いコメディアンには、根底に真面目さ、頭の良さを感じます。ショスタコなんかもコメディの才能ありそうですし・・・。
あ、リマスターは買われていなかったのですね。
>SACDでは無かったのと、もっと買いたい音盤がたくさん有りましたもので・・・。
ですよねー、そのお気持ちよくわかります。
>奈良の正倉院展で、19年ぶりに出展された世界唯一の古代の五絃琵琶、「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」の実物を初めて観て、感無量でした。
機会をみて、ぜひまたお聞かせください。

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