またしても平均律クラヴィーア曲集第2巻

bach_well_temperd_richter_1973_live.jpgAnton Bruckner Symphony Versions Discographyというサイトに、朝比奈隆が1976年1月に名古屋大学交響楽団を指揮し、ブルックナーの第8交響曲を演奏した音源が落ちているのを知り、早速mp3データをCD-Rに焼き直して聴いてみた。朝比奈先生が初めてハース版に挑戦したといわれる伝説の演奏会の模様で、レコードも一般市販はされず、もちろんCD化もされていない音源だから、半ば伝説化されているようなコンサートなのだが、なるほどアマチュア・オーケストラを指揮して熱く燃える60代後半の朝比奈御大のエネルギーが手に取るようにわかって興味深い。当然金管など演奏レベルは拙い部分も多いが、そういうものを超越して聴衆に訴えかけるものがこの中に確実にある。どういうわけか第3楽章が途中で切れてしまっているので興醒めといえば興醒めだが、その辺は致し方なし。この録音を耳にできただけでもまずは幸せと考えた方がいいだろう。

1970年代の朝比奈先生の音楽は、いつもの重厚さは変わらないものの、晩年の若々しくも枯れた境地とはまた違って、エネルギッシュでカロリー満点の音楽作りというのが特長だろうか、野人(あくまで人間としての)ブルックナーというものをしっかりと捉えきっている点が素晴らしい。

ところで、ブルックナーもやっぱりJ.S.バッハを師と仰いだのだろうか。フィナーレのコーダ前の第3主題のフーガ的展開のところに及んでふとまたそんなことを考えた。というより音楽の父というだけあり、バッハ以降の音楽家でバッハの影響を受けていない作曲家は存在しないだろうから、何かしらの「影響」が感じられるというのは当然のことなのだけれど。

リヒテルが1970年代にインスブルックでコンサートを開いた、その際の実況録音。晩年のリヒテル自身が選曲したという代物。例の有名なスタジオ盤以上に音楽が飛翔する。

J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第2巻(1973.7.26&28Live)
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)

キース・ジャレットのハープシコードによる演奏を聴いた後にリヒテル盤を聴くと、ピアノという楽器の可能性の幅がよくわかって面白い。バッハの時代に近代ピアノはまだ発明されていないが、それでも200年後の今を見据えてバッハがピアノのためにこの音楽を創造したとしか思えない「自然さ」、その場で音楽が生み出されているのではないかという錯覚を起こさせる。それはリヒテルの解釈、あるいは演奏技術が為せる技なのだが・・・。ともかく僕はピアノで聴くバッハの音楽が好きだ。

第2巻だけ繰り返し何度も聴くが、本当に奥深い。未来に希望を抱きつつ、着実に一歩一歩前に進んでゆく様が脳裏にリアルに浮かぶ。


4 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ご紹介の朝比奈先生が初めてブル8でハース版を使用した記念すべき演奏の録音(1976.1.20 当時の名古屋市民会館における名古屋大学交響楽団 第30回定演)、私は、先輩が所有している自主制作LPで昔、全曲完全な状態で、何回も聴いたことがあります。現在同楽団が所有しているのが、マスター・テープなのかLPなのかは未確認なのですが、
http://www2.jimu.nagoya-u.ac.jp/kokyogaku/50th/joukyou.html
一般の方々にも良質な音で聴けるように、近い将来、CDか、可能であればSACDできちんと復刻して欲しいものです(ファンの熱意があれば、その可能性は充分にある)。
ご存じのように、当時は楽器が揃わず、ワーグナー・チューバをブラスバンドから借りてきたユーフォニアム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%A0
で代用したりして演奏しているのですが、技術を超えて、当時の先生と学生の熱意がビンビン伝わる演奏ですね。
クラシックを演奏したことなくて聴くだけの人に、声を大にしてお伝えしたいです。
あなたは外国に行く時や外国人と話す時、英語(外国語)は通訳だけに頼っていますか? それもいいでしょう。
しかし、下手でも、ジャパニーズ・イングリッシュでもいい、英語(外国語)を話そうという勇気こそ本当は大切。音楽も同じなのです。異文化をより深く理解しようとするなら、そういう能動的、主体的な姿勢も不可欠だと思っています。
なので、ぜひ、あなたも楽器を、自分でも一度はやってみましょう!!
因みに私も下手糞の極みでしたが、このオケにはOBでのエキストラ参加を含めると、80~85年(第49回定演 井上道義 ブル8)くらいまでは関係しました。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
きっと雅之さんなら何らかの形で関わられているだろうと思っていました。ひょっとするとLPもお持ちかと想像していましたが・・・。
>技術を超えて、当時の先生と学生の熱意がビンビン伝わる演奏ですね。
同感です。
>なので、ぜひ、あなたも楽器を、自分でも一度はやってみましょう!!
はい、わかりました(汗)!!
>このオケにはOBでのエキストラ参加を含めると、80~85年(第49回定演 井上道義 ブル8)くらいまでは関係しました。
素晴らしい!!その時の録音を聴いてみたいものです。持ってらっしゃるんですよね?

返信する
雅之

>その時の録音を聴いてみたいものです。持ってらっしゃるんですよね?
また、いつかお会いした時にでも・・・。

返信する

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください