ブルックナーの交響曲第2番

bruckner_rozhdestvensky_2.jpg朝比奈隆指揮するブルックナーの第7交響曲(1980年10月の大阪フィル定期)に出逢って以来、敬虔なるブルックナー音楽の虜になり、30年近くの月日が流れる。クナッパーツブッシュやシューリヒトはもちろんのこと、マタチッチやヨッフム、ヴァントなどいわゆるブルックナー指揮者と呼ばれる音楽家の演奏はCDや実演など折に触れ聴き続けてきた。しかし、2001年に朝比奈先生が亡くなって以降、実演を聴く気になれずその機会をあえて逸している。あまりにも崇高で理想的な音楽だったゆえ、朝比奈のブルックナー以外受けつけないと思い込んでいる節もあるにはあるのだが、もうそろそろいいのではないかと最近思うようになった。どなたかこれは間違いないと太鼓判を押せる演奏会をご存じないでしょうか?もちろん、その日に名演奏が繰り広げられるか否かなどは「神のみぞ知る」ことなので、あくまで「このコンビはいけるはずだ!」という予想でいいのですが・・・。

もう10年近く前だと記憶するが、メロディアからロジェストヴェンスキー指揮ソビエト国立文化省交響楽団によるブルックナーの交響曲全集(しかも、各交響曲の全異稿まで収めた優れモノ。しかし今では廃盤になっている様子)がCDショップの棚に並んでいるのを見て、その中から幾つかをチョイスして購入した。当時全曲を買い損ねたので何とか再発してもらいたいものだ。

六本木ヒルズで開催された「IGO Festival」(友人が主催に絡んでいるので)に顔を出したものの、囲碁についてはほとんど興味を持てないので、その場にいた何人かの知人と立ち話をしてそそくさと帰ってきた。はや11月。外気が少しずつ冷えてきているのが身に染みるようにわかる。こういう時には不思議にブルックナーの音楽を耳にしたくなる。それも心身を温めてくれるような演奏でだ。ギュンター・ヴァントがケルン放送響と録音したブルックナー全集から初期の佳曲、すなわち交響曲第2番ハ短調(ハース版)を聴き(初期の楽曲の中で好きなのがこの第2番。交響曲第3番より上だと僕は思っている)、次いで取り出したのが、前述のロジェストヴェンスキーによる第2交響曲の「1877年第2稿」というもの。ブルックナーの交響曲をこよなく愛する僕だが、初期の2曲(0番、00番を入れると4曲か)及び第6交響曲に関しては明らかに聴き込みが足らず、楽曲の稿の違いを云々して評する力量は残念ながら持ち合わせていない。

ブルックナー:交響曲第2番ハ短調(1877年第2稿)
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮ソビエト国立文化省交響楽団

バリバリの金管の咆哮(大音響?)を伴ったいかにもソ連のオーケストラという感じで、少々うるさいのが難点。少なくとも以前聴いた実演はもう少し大人しく有機的な音がしていたように記憶する。そういえばと、1996年に渡英した際にBBC「PROMS」でロジェストヴェンスキーのブルックナーを聴いたことを思い出した。その時のプログラムを取り出してみる。

ブルックナー:交響曲第2番ハ短調
休憩
ストラヴィンスキー:ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ
シュニトケ(ロジェストヴェンスキー編):「死せる魂」組曲(ロンドン初演)
ヴィクトリア・ポストニコワ(ピアノ)
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮BBC交響楽団
1996年8月1日(木)19:30~ ロイヤル・アルバート・ホール

その日の記憶はきわめて薄い。特に、後半のプログラムのことは全く覚えがない。アンコールがあったのかどうかも僕にしては珍しく忘却の彼方だ。しかしながら、第2交響曲を初めて実演で聴いた体験だったからだと思うが、最初のブルックナーに関してははっきりと記憶がある。ともかくネアカのブルックナー、明らかにロジェストヴェンスキーの能天気な(?笑)ブルックナーだったことを彼の指揮姿ともども今でもまざまざ思い出す(ロジェヴェンはあまりブルックナー向きじゃないと思う)。

それに、ロイヤル・アルバート・ホールの音響は最悪だったし、そもそも「PROMS」というイベント自体がどうやら音楽を聴くためのものでないように思うのだ。「PROMS」は過去にも何度か接しているが結局良い思い出があまりない。お耳直しにクルト・アイヒホルンが晩年にリンツ・ブルックナー管といれた名盤を・・・。

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