奇跡は自ら起こすものなり

The_Who_live_at_leeds.jpgKeith Moon死して30年。今秋、The Whoが単独で日本の地を踏み、初めてコンサートを開催する。結成から44年、あまりにも遅すぎた来日。Keith Moon、John Entwistleを亡くし、今やオリジナルの編成をとりえない、ある意味The Whoの残骸(?!)ともいうべき姿で行われる公演は実際のところどうなのだろうか?コアなファンからしてみると、The Whoという名を名乗り、RogerとPeteがThe Whoの懐かしの名曲群を披露するというだけで鳥肌モノなのだろうが、The Whoの奇跡は、The BeatlesやLed Zeppelinの奇跡同様、オリジナルの4人のメンバーたちが揃って起こし得たマジックであり、シナジーであった。
The Beatlesが、あるいはLed Zeppelinが正しい意味において「再結成」がありえなかったように、彼らもかくあるべきではないのかと余計なお世話だが思ってしまうのだ。今回の来日がThe Who名義ではなく、例えばRoger Daltrey & Pete Townshendという形でのパフォーマンスならば、僕は何のわだかまりもなく、即刻納得し、いそいそと会場に出掛けたかもしれない。

しかしながら、そうは言ってもかつての名盤を昼夜問わずレコード盤が擦り切れるほど聴いていた僕らの世代の人間(あるいはまさにオンタイムで聴いていたであろう僕らより上の、いわゆる団塊世代の人々)にとってみたら、他に代替の術がないThe Whoの生音をリアルに聴ける千載一遇のチャンスなのだから(最初で最後かもしれないし)、一方でぜひとも聴いてみたいと思うのは当然のこと。ひょっとすると、全盛期のキレは期待せずに体感してみると、意外に良くて卒倒モノかもしれないと思うと、やっぱりチケットを入手しようかどうか迷ってしまうのである。そういう意味ではこの歴史的事件(大袈裟?)にほとんど客観的になれない自分がいるようにも思うのだ。

The Who:Live At Leeds

第19回「早わかりクラシック音楽講座」が無事終わった。久しぶりに少人数での開催だったが、初めて参加いただいた方も数名おり、しかも僕などより人生経験豊富な方々にご参加いただけたゆえ、大変実りあるひと時を過ごせた。感謝。
1830年、フランス7月革命の頃を軸に当時一世を風靡していたニコロ・パガニーニやその影響をもろに受けたといわれるフランツ・リストやフレデリック・ショパンのこと、そして彼らの創作した楽曲を聴き、メインには、これも当時の聴衆の度肝を抜いたといわれるエクトール・ベルリオーズの「幻想交響曲」をシャルル・ミュンシュの名盤でどっぷり浸り、堪能した。芸術家はお互いに影響を与え、各々独自の世界をみつけ、孤高の存在になっていく。パガニーニがいてリストの存在があり、リストがいたから盟友ショパンがショパンであったのだろうと考えると、いつどこの世界に生れ落ちるかの重要性と自ら作り上げていく環境の大切さをあらためて感じさせられるし、前述のように20世紀のロック界で起こった数々の奇跡も偶然その何人かが出会ったことによるようにみえ、各々がそういう一瞬のチャンスを逃さず自らの手で掴んだ結果なんだと知ると、自分も「機会」を逸しないようアンテナをしっかり立て行動しようと自戒させられるから素晴らしい。奇跡は自ら起こすものなり。

上記のLive At LeedsはThe Whoが残した唯一無二絶対の音盤。いかにThe Whoのライブが凄かったのかを知らしめる大きな証拠でもある。ゆえに、どうしてもThe Whoのコンサートは気になる・・・。

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