ジュネーブ、89年

lalo_chungkw.jpg今日は一日天気も良く、爽快な気分。昨日の「寺子屋」を誘ってくれたH子と新宿で1時間半ほど話をした。彼女はかつて前職の際お世話した元受講生だが、やっぱりあぁいう経験を若いうちにすると、広い意味での「人間教育」に興味をもつようで、2年前にOLを辞め、それ以降は自分自身の天職を模索しているような状況だという。しかし、特にやりたい何かが決まっているわけでなく、要は地に足がついていない状態だと話してみてわかったので、まずは現実的に安定することを薦め、その上で「軸」をしっかりさせて物事に向かうようアドバイスした。僕自身も1年半前に経験したことだから、気持ちはよくわかるのだが、どうしても何かにすがろうとしてしまうのが人間の「弱さ」であり、「性」なのである。僕は彼女は地に足さえつければ大丈夫だと直感的に思った。というより、人間誰でも軸をぶらすことなく「生きる目的」をもつことが一番大切だと思う。

いつだったか(思い起こせば1989年だから、もう20年近く前になる)、夏休みに2週間強の有給をとり、ヨーロッパ旅行をしたことがある。よくよく考えてみるとサラリーマン2年目の時だったから、今から考えると暴挙というか身の程知らずというか、我ながらよくやったものだと感心する。その時はイギリス、スイス、フランス、オーストリアなどを回ったと記憶するが、当然のことながらコンサート巡りもたくさんした。
スイスのジュネーブでは、Festival ete Espagnol 89というイベントが行われており、僕はビクトリア・ホールでのコンサートに出かけた。
プログラムは、エドゥアール・ラロのスペイン交響曲、ミハイル・グリンカのスペイン序曲第2番「マドリードの夏の思い出」、スペイン序曲第1番「ホタ・アラゴネーサ」、そしてモーリス・ラヴェルのスペイン狂詩曲というもの。アルミン・ジョルダン指揮スイス・ロマンド管弦楽団&ジャン=ジャック・カントロフのヴァイオリンであった。夏の暑い日にはぴったりのスペイン音楽。特に、カントロフの弾くラロは印象的で今でもその時ホールの空気や温度まで思い出せるほどである。

ラロ:ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調「スペイン交響曲」作品21
チョン・キョン=ファ(ヴァイオリン)
シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団

「ツィゴイネルワイゼン」で有名なヴァイオリンの名手サラサーテのために作曲されたコンチェルト。こういうラテン的、情熱的な楽曲は若き日のチョン・キョン=ファにぴったりだ。89年の来日でN響をバックにブラームスとベートーヴェンの協奏曲の名演奏を披露してくれたが、彼女もあの頃がある意味ピークだったかもしれない(後年、円熟味を増した彼女の演奏はまた別の意味で天才的だけど-98年のリサイタル、01年のリサイタルともども凄かった!)。何かにとり憑かれたような身振りでの熱演とそのエネルギーは半端じゃなかった。

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