
抜粋の寄せ集めながら各々のパフォーマンスは実に熱い。
ブックレットを開くと、目に飛び込んでくるのが、1955年のフェスティヴァルでの、ロッシーニ作「アルジェのイタリア女」アムステルダム初演後の、ファンに囲まれて満面の笑顔を湛えるカルロ・マリア・ジュリーニの写真。
およそジュリーニのイメージとは異なる姿に何だか脱力感。
おそらく、初演の成功を味わった直後の、彼の素顔の貴重なショットなのだと思う。
それだけでこのフェスティヴァルが国民に愛される、また音楽家にとっても重要なお祭りだということが理解できよう。
常に革新性を目指し、1947年に始まった、パフォーミング・アーツのためのお祭だという。
「オランダ・フェスティヴァル 50年のハイライト」と題するボックス・セット。
オペラの実況録音というのは不思議に色褪せない。
それぞれの時代に、会場の雰囲気と合わせ、熱狂や感動までもが刷り込まれる奇蹟と言えば大袈裟か。モンテヴェルディの「オルフェオ」は、何とマデルナの管弦楽編曲によるものであり、それをマデルナ自身が指揮をするという代物。昨今のピリオド風とは異なる、大掛かりな(?)音響にむしろ感動を覚えるほど。
パヴァロッティの激しくも若々しい歌が聴けるベッリーニは、若きアバドの生き生きとした指揮が素晴らしい。