ムラヴィンスキーのリハーサル

たった今生れたかのように、そして地から湧き出づるかのような「タンホイザー」序曲。
冒頭の主題のみをしつこく、懇切丁寧に繰り返す。

「少し曲がまとまらなくても演奏が合っていればよろしい。でも、曲もまとまっておらず演奏も合っていないというのではだめだ」
「だめだめ。・・・歌って。・・・音楽が途切れてる」
(訳:一柳富美子)

1977年1月の、レニングラード・フィルハーモニー・ホールにおけるリハーサル風景の記録。15年ほど前に、ビクターから発売された「黄金期のロシア・マエストロ・シリーズ第1期~ムラヴィンスキーの真髄~」全巻購入の特典サンプラー。「タンホイザー」序曲は冒頭をしつこく練習した後は一気に最後まで駆け抜ける。見事としか言いようのない音楽作り。目を閉じるだけで自ずとムラヴィンスキーの姿が思い浮かぶ。
「マイスタージンガー」前奏曲は一切のストップなく進む。リハーサルとは思えないエナジーと完成度。

ワーグナー:
・歌劇「タンホイザー」序曲(リハーサル)
・楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲(リハーサル)
エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
・ムラヴィンスキー、人生と自然を語る。

そして、ムラヴィンスキーの肉声による自身の詩。
ソビエト連邦の生んだ、世紀の大指揮者の詩の内容は、我々を寄せ付けない厳しさと深刻さと。
人生とはこれほどまでに辛いものなのか。
自然や宇宙の大きさから見たらば、人間の一生など取るに足らないもの。
彼の言う如く「瞬間」に過ぎない。

沈黙の中の孤独、それが短い時
それは休息。
沈黙の中の孤独、それが長い時
それは息づまる牢獄。
沈黙の中の孤独、それが永遠の時
それは墓場。
思いめぐらすと髪も逆立つ・・・
そうだ、あちらでは「時」もなく「永遠」もない
あちらではすべてが「瞬時」なのだ
(訳詞:河島みどり)


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。

ムラヴィンスキーの肉声による自身の詩、いいですねぇ。

つくづく人生とは、五木寛之が言うところの「大河の一滴」
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ですねぇ。

昨日初めて観た、
『男はつらいよ 第39作 寅次郎物語』より

満男 「伯父さん、人間てさ、人間は、何のために生きてんのかな?」

寅次郎「難しい事聞くな・・・何て言うかな、ほら、
    あ-生まれて来てよかったなって思うことが何べんかあるだろう、
    そのために人間生きてんじゃねえのか」

満男 「ふーん」

寅次郎 「そのうち、お前にもそういう時が来るよ、な、まぁ、がんばれ」

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。

>五木寛之が言うところの「大河の一滴」
>『男はつらいよ 第39作 寅次郎物語』

なるほどー
寅さんの言葉、言い得てますね。かっこいいです。

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