人ってすばらしい

mozart_quartet18_abq.jpg人は「不完全な」存在である。長所を持ち、短所を持つ。今まで20年来「人間教育」に携わってきて、「長所を伸ばし、短所を改善する」ことを旨として参加していただく皆さんに説いてきた。ところが、それは無理があるとあらためて気づいた。人は根本的には変えられない。というより変わらなくて良いのである。それよりも、短所も長所も含めありのままの自分自身を受容できるというその態勢、姿勢が重要なのである。人は自分の存在価値を認めたときに階段を一つ上がる。そして世の中のためになる何かをやり遂げ、他者に喜んでいただいたときに喜びを感じる。そして、さらに一つ階段を上る。他者と比べず、そもそもユニークな自分であるその存在を認め、受け容れることができたときに初めて「自信」を持つようにある。自信があれば勇気を奮い立てることができる。行動すれば、たとえ結果が失敗だろうと成功だろうと、何かを学ぶことができる。その「学び」の体験が人を許し、人を受け容れることのできる礎となる。極めて単純な論理だが、それを実行に移すことは難しい。まさに修行である。

モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465「不協和音」
アルバン・ベルク四重奏団

「不協和音」と名のつくこの四重奏曲の謂れは、第1楽章冒頭の序奏部にある。18世紀クラシック音楽の中では極めて稀な「不協和音」をもつ暗いアダージョが置かれているのである。しかし、その「混沌」があるおかげで後に続く「調和」あるいは「協和」の部分が生きてくる。そう、この世の中に存在する全てのものは表があり裏があって初めて存在価値をもつ。当時としては画期的な試みであったこの手法に天才アマデウスは尻込みすることなくチャレンジしている。怖れることなかれ。

「短所」を否定することはない。「長所」だけを見ようとするのは逆に半端である。その全てを受け容れること、承認することが大事なのだ。ありのままの「あなた自身」を知ること。そして、「ありのままのあなた自身」を表現すること。
人は誰しも自然になりたいと願っている。

今日第5回「人間力向上セミナー」が終了した。参加していただいた皆さんに与える衝撃は大きい。そして、誰もが生まれながらに甚大なる可能性を持っているのだ。人と人とのつながり。人が人に与える影響。

人って素晴らしい。

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