ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル ブラームス 交響曲第4番リハーサル(1973.4収録)

灰色、太陽は照っているのに風は水のよう。
雪は溶けようとやっきになって、道をどろんこにする。
腐葉と雪が薄墨色の層を織りなす。
森では雪の裂け目からチェルニカの茂みが顔を出し
樹根に黒土が円い輪をえがく。
こんなうす汚れたたたずまいも
都市へ帰るときまった時
突然天国かのように美しく見えてくる。

(エフゲニー・ムラヴィンスキー/河島みどり訳)(1973年3月)

パトスとロゴスの中庸。知性的でありながら底知れぬ情熱を発揮するヨハネス・ブラームス。

エフゲニー・ムラヴィンスキーのリハーサル風景をみると、いつも思うのは、圧倒的厳格さの中にある慈しみだ。音楽に対する指揮者の献身と、オーケストラの指揮者への敬意が、どの瞬間も見事に音そのものに反映されるのである。

ブラームスの交響曲第4番終楽章パッサカリアの途轍もない厳しさと、アウトプットされる音楽の生々しさと筆舌に尽くし難い美しさ。鋭利な刃物のような切れ味のリズムとティンパニの強烈な轟き、そして金管群の猛烈な咆哮。どこをどう切り取ってもムラヴィンスキーのレニングラード・フィル以外に生み出せない音楽だ。

・ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98(リハーサル風景)(1973.4収録)
エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

このときの本番の映像も一糸乱れぬアンサンブルを武器に、最高のブラームスが奏でられるが、ムラヴィンスキーの創造の秘密が解き明かされるよう。おそらく他の誰にも真似のできない、指揮者とオーケストラの間の絆の強さが垣間見えるよう。恐るべき音楽家だとあらためて思う。

言葉では語り尽くせぬ感動よ。今宵、僕はあえてここで筆を措く。

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