otter mehldau “Brad Mehldau Love Songs, for mezzo-soprano and piano” (2009 &10)

オッターはメルドーの曲に一聴打ちのめされたのだという。わかる気がする。
彼女のアイドルは、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデー、そしてニーナ・シモンだそうだ。
オッターとメルドーの出逢いは、カーネギーホールが彼女のためにいくつかの歌を書くよう彼に委嘱があったことから。メルドーは彼女の初期のレコード、ブラームスやシューマンの歌をよく知っていたので一も二もなく依頼を受けたのだという。

メルドー曰く、オッターの歌にいつも心動かされるが、彼女の歌は決してドラマティックになり過ぎない点が素晴らしいのだと。とても納得のゆく言葉だ。

初めてこのアルバムを聴いたとき、不覚にも僕はメルドーのことを知らなかった。
偶然手にした音盤は、新たに僕を芽吹かせた(生気を与えてくれた)。オッターの妖艶な、しかし冷静な歌に寄り添う実に有機的なピアノ伴奏は、歌そのものだともいえたし、また歌以上に歌のように思われた。まるで自身の手足のように楽器を操るメルドーの歌に僕は感心した。

Brad Mehldau Love Songs, for mezzo-soprano and piano
  it may not always be so (e.e.cummings)
  We Met at the End of the Party (Philip Larkin)
  Child, Child (Sara Teasdale)
  Twilight (Sara Teasdale)
  Because (Sara Teasdale) (2009.2.11)
  Dreams (Sara Teasdale)
  Did You Never Know? (Sara Teasdale) (2010.6.2)

Personnel
anne sofie von otter (mezzo-soprano)
brad mehldau (piano)

いつもそうだとは限りません・・・カミングスの虚無感満ちる詩にメルドーがこの上なく静かな、暗い音楽を付す様よ。オッターのメゾがいつも以上に暗く、しかし憧れに溢れて響く。
あるいは、サラ・ティーズデールの詩に感化されたメルドーの、深淵を覗き込むようなピアノの音に僕は心を揺さぶられる。

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