ユニークであること

今日は第12回「早わかりクラシック音楽講座」の日。入れ替わり立ち代りいろんな方に興味を持っていただいて、あっという間に1年が過ぎたことがとても感慨深い。そして、今回も10名の方(しかも7名が初参加者!)にご参加いただき、喜んでいただけたことが素直にうれしい。正味3時間、ラフマニノフの名曲ピアノ協奏曲第2番ハ短調を僕なりの切口(人間力、生育歴、コミュニケーション、心理学など)で斬り、しかも2種類の違った演奏者による全曲CDを聴いていただいた。会の詳細は後日ホームページ上にUPする予定なのでそちらに譲るとして、例によって終了後「おでん」パーティーを開催した。
ビールや焼酎を片手におでん、ポテトサラダなどを突っつきながら、ラフマニノフの続きを語ったり、自分の趣味について語ったり、面白おかしく時間が過ぎてゆく。どうやら各々が各々のマニアックな趣味を持っているらしく、ある人は「ガンダム」について滔々と語り、ある人はムンクについて持論を一席ぶつ。最後は写真家のロバート・メープルソープに話が及び、表現するには「負の体験」が必要だとか、表現の手段を持たないのは厳しいことだとか、いや方法論はできる誰かに任せればいいのだとか、広い意味での芸術論になったところがこれまた楽しかった。偶然とはいえ、こうも志向が似ている人たちが集まると時空を超えるらしく、あっという間の5時間。宴の終了は23:30。大いに盛り上がりました。次回は2月24日(日)、お題はJ.S.バッハの予定。お楽しみに。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18
クリスティアン・ツィマーマン(ピアノ)
小澤征爾指揮ボストン交響楽団

ラフマニノフの第2協奏曲はこのブログでも何度もとりあげている。僕の好みは圧倒的にルービンシュタイン盤だが、違った意味でこのツィマーマン盤もおススメ。今日はその2種類を聴いていただいた。ルービンシュタイン盤は、いかにもアメリカ的で豪快かつ明るい。一方のツィマーマンはロシア的な側面を前面に出した、極めてメランコリックで暗い演奏で、これはこれで好き好きであろう。

ラフマニノフは天才であるにもかかわらず自分自身の「軸」が外にあった人間である。第1交響曲の失敗による神経衰弱も、もとはといえば「受容の不足」から生じる「軸」のぶれであることは間違いない。ニコライ・ダーリ博士による催眠療法によりある意味「軸」を自らの中に戻すことができたことも彼にとっては幸運だったのだが、そもそも負の体験がなければ生まれなかった楽曲であるゆえ、やはり人間にとって「壁」との闘いは重要なものであると痛感する。
人は誰でも他者の評価を意識する。その評価を気にし過ぎるあまり本来持っている力を出し切れないのだ。ユニークで独自な存在であることを肝に銘ずるべし。

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