小川典子 瀧廉太郎 「憾み」ほか(1996.12録音)

小川典子の弾いた瀧廉太郎の作品を聴いた。
日本人作曲家による初のピアノ曲だというメヌエットと、肺結核で急逝する5ヶ月前に作曲された「憾み」。少なくとも後者は、不思議な明るさの背後に潜む、とても悲しい、というより作曲家の苦悩、悔しさが聴き取れる名曲だ。わずか2分22秒の慟哭よ。
わずか23歳で夭折した作曲家のむしろ生きる希望を貫いた音楽だと思う。

僕自身のために 小川典子 日本のピアノ音楽を弾く
瀧廉太郎:2つのピアノ小品
・メヌエットロ短調(1900)
・憾み(1903)
箕作秋吉:花に因んだ3つのピアノ曲作品16(1935/40)
・夜の狂詩曲
・さくら、さくら
・春のやよい
菅原明朗:水煙(1933)
橋本國彦:三枚繪(1934)
・雨の道
・踊り子の稽古帰り
・夜曲
清瀬保二:琉球舞踊曲(1936)
金井喜久子:琉球舞踊曲
・月の乙女たち
早坂文雄:秋(1948)
小山清茂:かごめ変奏曲、主題と8つの変奏曲(1967)
矢代秋雄:ピアノのためのノクチュルヌ(1947)
中田喜直:変奏的練習曲(1966)
坂本龍一:
・ピアノ組曲(1970)
・僕自身のために(1981)
小川典子(ピアノ)(1996.12.27&28録音)

日本人の心底にある慈しみというものを実に可憐に、明快に表現する小川典子の心の美しさ。瀧廉太郎144回目の生誕日に。

そして、アルバムタイトルにもなっている(今年3月に亡くなった)坂本龍一の”Just for Me”にみる天才。こういう冒険心溢れる音楽こそ坂本龍一のゾーンの広さを物語るものであり、小川典子の実に丁寧で思い入れたっぷりのピアノに感化される。素晴らしいと思う。

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