大晦日の朝に

1年で最後の日というのは毎年感慨深いものがあるのだが、今年はより一層格別な想いが募る一日である。何かが終わり、そして「ニュートラル・ゾーン」に居た2007年。様々な決断を迫られた年。おそらく生涯でも忘れがたい1年になることは間違いない。
夕べは、久しぶりにふと思い出し、ショパンの「ノクターン(夜想曲)全集」を聴いた。深夜に微かな音量で聴くこの曲は、邦題の「夜を想う」という字の如く心に染み入り、365日の精神的・肉体的疲労を癒してくれる。取り出したのはずっしりと重く語りかけてくるルービンシュタイン盤。基本的にショパンといえばルービンシュタイン。僕の定番だ。

日本海側は大雪模様だという。太平洋側も場所によっては雪。東京の午前は鋭い陽光が窓辺に差し込み、強烈な光と共に熱を発している。とても雪が降っていることなど想像もできない異質なエネルギーを感じる。良い意味で・・・。
そして、
今日も午前中から「ノクターン全集」をおもむろに取り出す。今度のは軽く、そして洒脱な雰囲気を醸し出す、耳に優しい全集。

ショパン:ノクターン(夜想曲)全集
サンソン・フランソワ(ピアノ)

ノクターンに限ってはフランソワ盤が一推し。コルトー門下のフランソワのショパンはどれも師匠直伝の軽妙でお洒落な側面を前面に押し出した、ルービンシュタインとは正反対の名演奏。病弱で精神的にも決して強くなかったショパンが生涯を通して書き連ねた「夜想曲」を一気に聴き込むと、彼の心の成長ぶりがはっきりと伺える。と同時に、自分自身にも「自律的に生きる」ことへの勇気をもらえるようでとてもありがたい。意外だが、これこそまさに「勇気」を奮い立たせてくれる音楽ではなかろうか。

2008年は何かが始まる予感がする。

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ピリス ショパン 夜想曲全集(1995&96録音) | アレグロ・コン・ブリオ

[…] アルトゥール・ルービンシュタインの夜想曲全集に目覚め、そしてサンソン・フランソワの夜想曲全集に焦がれ、僕は少年時代を過ごした。ショパンの夜想曲は僕にとってそれほどに大切な曲集なのだが、今もし、一つを推すなら、マリア・ジョアン・ピリスのものだ(2年という年月をかけて録音された代物)。引退まもないピリスの音楽は、ほんの少し枯れた、堂々たる風趣の、近寄り難い境地のものだったけれど、この頃の、いわば壮年期(円熟期)のピリスのそれは、浪漫豊かで、また色香に溢れ、隅から隅まで静かで美しい。 […]

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