原点回帰

金曜日に受けた「ボイス・トレーニング教室」の気づきは、「地に足をつけて全身でエネルギーを循環させること」、「身体全部を使って呼吸をすること、エネルギーを『感じること』が重要だということ」、「無理せず全身の力を抜き、自然に声を出すこと」である。

昨晩、知人と飲みながら「仕事」のアイデアをざっくりともらった。
今日の昼、同居人と話しをしていて、「原点回帰」だとあらためて気づいた。多くの人に喜んでいただくには、気持ちよく楽しくなる「場」をいかに提供するかである。かれこれ20年ちょっと前に僕があるセミナーを通じ思い、感じた「原点」とはやっぱり「一体感」なのである。みんなで歌を歌うこともそう(素人が第九の合唱に参加すると、一体感で涙が出てくるらしい)。何かイベントで盛り上がるってこともそう。人間は「一つ」になりたがってるんだ、やはり・・・。

昨日、「歓喜の歌」の原型となった旋律をもつ歌曲「愛の答え」をとりあげた。若きベートーヴェンの習作ともいうべき愛らしい音楽である。創作の絶頂期であったベートーヴェンはこの同じメロディを使って、珍しい楽曲を生み出した。「合唱幻想曲」というあまり一般には馴染みの薄い音楽である。しかし、1808年という、第5交響曲「運命」や第6交響曲「田園」と同時期に作曲された知る人ぞ知る秀作ナンバーなのである。
ピアノ、合唱と管弦楽という大編成を要求するゆえなかなか舞台でとりあげられることは少ないが、楽聖が第9交響曲の礎石としただけあり名曲であると思う。

ベートーヴェン:ピアノ、合唱、管弦楽のための幻想曲ハ短調作品80
エフゲニー・キーシン(ピアノ)
RIAS合唱団
クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1991年の大晦日、ベルリンのフィルハーモニーで催された「ジルヴェスター・コンサート」のライブ録音である。この日は全曲ベートーヴェンの作品によるプログラムで、他にもヴィム・ベンダース監督作「ベルリン・天使の詩」(1987)で有名な俳優ブルーノ・ガンツの朗読により劇音楽「エグモント」全曲なども披露された。こういう粋なコンサートは最近めっきり減った。

快く優しく愛らしき響き
我らが生のハーモニー
美の感性を揺り動かして
花を咲かせる、永遠の花を
平和と歓喜、親しげにすべり出す
寄せては返す波のごと、戯れながら走り出す
荒々しく敵対しながら寄せ来るもの
秩序ある高き感情に変わりゆく

音の不思議、はたらいて
言葉の神聖、語られしとき
栄光は形づくられ
夜と嵐は光とならん
外なる静寂、内なる至福が
幸なるものを支配する
もって芸術の春の太陽は
その両者から光を生じさせる

心に迫り来る偉大なるもの
かくて新たに美しく、高みに向けて花開き
精神は高揚し
あらゆる精神の合唱が絶えずそれに唱和する
受けよ、汝ら美しき魂どもよ
歓びもて美しき芸術の賜を
愛と力が結ばれしとき
人は神の恩寵を受く

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