大人の「恋愛」

昨日から弟夫婦が子供連れで東京ディズニー・リゾートを訪れているので昼間に舞浜で落ち合い、イクスピアリのレストランで食事をした。彼らはこれまで何度か東京に来ているが、実は会って共に食事をしたのは初めて。というのも、昨年までやたらに仕事の縛りが厳しく、プライベートでも時間がそうそうはままならなかったということと、そして、弟とはいえ一回りほども歳が離れているゆえ、僕が東京に出てきたのは彼がまだ7歳の頃のことで、そういう意味では人生の中で「家族らしき」交流をしてこなかったなどの理由から(別に仲が悪いわけでは決してないのだが)、今日のような機会がなかった、というより作らなかったからである。
しかし、人間誰しも歳をとるにつれ思考や行動パターンは自ずと変わり、余裕もでき、歳の差が12歳あろうと、相手は所帯も持ち子供もいるわけだから、ある意味僕以上に「大人」なわけで、何だか見習わないといけないような「現実感」や「安心感」も感じられ、「人間臭い」有意義なひとときでとてもよかった。

ところで、ラフマニノフの音楽も19世紀ロシア・ロマノフ王朝時の「憂愁感」を残した「人間臭い」音楽で、僕は若い頃からとても好きな作曲家の一人で、時折、音盤をとり出して聴いては悦に浸ることがある。特に、有名な第2協奏曲は、映画音楽っぽいとか、有名過ぎるからという理由で、中には、女・子供が聴く音楽だと馬鹿にするクラシック音楽通も多い。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18
アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアノ)
ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団

第1交響曲の初演の失敗から神経衰弱に陥ったラフマニノフが不死鳥のように蘇った、チャイコフスキーの第1協奏曲と並ぶ傑作ロシアン・コンチェルト。第1楽章最初の「鐘の音」を模したピアノの音から既に心臓の鼓動は高鳴る。特に、失恋の切なさにも似た第2楽章の「甘美なメロディ」には心が震えてやまない。
大人の恋愛のもつ「現実感」や「安心感」を伴ったこの楽曲は、作曲者の「人間臭さ」を表出した稀有の名作であると僕は考える。
名盤といわれるCDは多いが、ルービンシュタイン&オーマンディ盤を超えるものはない。

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1 COMMENT

アレグロ・コン・ブリオ~第4章 » Blog Archive » 直感を信じて・・・

[…] 何年か前、「早わかりクラシック音楽講座」でこの楽曲を採り上げた時、2つの音盤を聴き比べた。僕がいまだに最高の演奏だと思っているルービンシュタイン&オーマンディの協演盤と、巷ではすこぶる評判の高いリヒテル&ヴィスロツキ盤。その時参加いただいた方々は一様にリヒテル盤を褒め称えた。おそらく、幻想的で暗鬱としたロシアの美を表現し切っているリヒテルに対し、ルービンシュタインはもっと外面的で明快で、どちらかというと映画音楽的な雰囲気を醸し出しているがゆえ、ラフマニノフの生きざまを知った後の皆さんにとって前者の方がよりピンと来たのだろうと推測するのだけど・・・。 […]

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