台風一過

夕べのものすごい風を伴った台風が嘘のような穏やかな秋空が広がる。政財界あらゆるところでゴタゴタが続いているこのご時勢、いっそのこと全てを浄化してきれいにしてしまうのもいいのでは、という天の按配かもしれない。

ところで、音楽にも「浄化音楽」というのがあるのをご存知だろうか?人間生きていると悲しみにも喜びにも遭遇する。悲しいときには「悲しい」音楽を、腹が立ったときは「怒り」を爆発させるような音楽を聴くと心身の浄化にとても良いらしい。

例えば、チャイコフスキーの「悲愴」交響曲。あるいはピアノ三重奏曲「ある偉大な芸術家の思い出のために」など。こういう音楽は「悲しみ」を浄化する音楽だといわれる。モーツァルトの「レクイエム」などの短調作品にもそういう傾向があるかもしれない。哲人アリストテレスは「悲劇をみることで自分の心が浄化(カタルシス)される」と言ったが、こと音楽の場合、自分が好きな楽曲がイコール「浄化音楽」なのだと僕は考える。Jポップだろうとロックだろうとジャズだろうと、何でも良いのだ。心静かに好きな音楽に無心に身を委ねることが大事だ。

チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲イ短調作品50「ある偉大な芸術家の思い出のために」
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
ミッシャ・マイスキー(チェロ)

1998年5月、すみだトリフォニーホールでのライブ録音。「夢のトリオ」の実現。当日当夜僕はこの会場にいた。前プロのショスタコーヴィチも素晴らしかったが、やはりこのチャイコフスキーのトリオは最高だ。彼は、モスクワ音楽院創設者のニコライ・ルビンシテインが46歳という若さで早世したことを心から悲しみこの曲を作曲したという。特別なる「浄化音楽」である。

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