破壊と創造

見よ、このアルバム・ジャケットを。こんなに革新的で衝撃的なアルバムが他にあるだろうか?
40年近く前に創り出された楽曲群とは到底思えないほどの完璧さを持つモンスター・アルバムである。ビートルズが「アビー・ロード」というラスト・アルバムをリリースした時、彼らは新たなロックの可能性を見据えて新たな音楽を創造し始めていた。

キング・クリムゾン:「クリムゾン・キングの宮殿」

ロバート・フリップ(ギター)
イアン・マクドナルド(サックス、メロトロン)
グレッグ・レイク(リード・ヴォーカル、ベース)
マイケル・ジャイルズ(ドラムス)
ピート・シンフィールド(歌詞)

奇跡のパーソネルである。21世紀の今聴いても色褪せない普遍的なエネルギーを持つ大傑作アルバムである。キング・クリムゾンはこのアルバムを残しただけでも音楽史上に名を残す天才的バンドであると断言できる。まさに平伏すべき「音の大伽藍」なのである。

「暴力性と叙情性」、「男性性と女性性」、「陰と陽」。両性具有とも云うべき全てがこの44分の中に集約されているといっても過言ではない。小宇宙である。

21st Century Schizoid Man
イントロの爆発からすでに解放が始まる。「21世紀の精神異常者」。
I Talk To The Wind
イアン・マクドナルドの叙情性が前面に出たこれまた名曲。
Epitaph
そして、「混乱こそわが墓碑銘」というサビをもつ一大ロック・シンフォニーというべき名曲。
Moon Child
叙情性と前衛性の交錯。
The Court of The Crimson King
大団円。アルバムを締めくくる傑作。今年3月エイジアが来日公演時にも演奏したが、さすがにオリジナルの完成度には及ばなかった。

とにかく全5曲の構成美と各楽曲の秀逸な出来。非の打ち所がない。未聴の方は是非!

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6 COMMENTS

みどり

岡本さん、今さらお尋ねするのも恥ずかしいのですが…
このアルバム・タイトルってペール・ギュントから取っているのですか?
「山の魔王~」の英題と似ているような気がして。

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岡本 浩和

>みどり様
はい、そうらしいです。
あくまでファンの間で昔から語られている噂のレベルなので、真偽は定かでないですが。
本件についてはSinfieldもどこにも言及していないと思います。
まぁでも、間違いなくそうでしょうね。

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みどり

ありがとうございます!

ずっと前から気になっていたのですが、調べてもわからなくて…
岡本さんに教えていただいた方が確実だと思ったものですから(笑)。

ペール・ギュントって欧米では一般的ではないのでしょうかね?
YouTubeでクラシックのメドレーで「これは何?」と問われている頻度が
高くて驚いて…で、思い出したのです。

絶対そうですよね?(笑) 助かりました。 感謝いたします!

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岡本 浩和

>みどり様
>ペール・ギュントって欧米では一般的ではないのでしょうかね?

いや、そんなはずは・・・。イプセンだって有名ですし、グリーグだって・・・。
多分クラシックをあまり知らない人が質問しているのではないでしょうか。

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