運命の4つの音

来週末の「古典音楽講座」のために久しぶりに手持ちの第5交響曲のCDをとっかえひっかえ聴く。第5とはもちろんベートーヴェン作曲のものである。

①カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
②オットー・クレンペラー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1968年ライブ)
③ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ヘッセン放送交響楽団
④セルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
⑤サー・サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
⑥ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1947年ライブ)
朝比奈隆指揮新日本フィルハーモニー交響楽団(1989年ライブ)

日本では専ら「運命」という名で親しまれている、特別クラシックファンでもない輩でも知っているであろうあの有名な出だしを持つ名曲である。「ダダダダーン」というテーマは誰もが知ってるだろうが、普段クラシックを聴かない人以外で全曲を通して聴いたり知ってるという人はあまりいないかもしれない。

ざっと7種の音盤を聴いてみても、その解釈は様々。テンポや楽器のバランス、そのどれをとってもそれぞれが個性的であり、いずれも捨てがたい名盤である。

思い出に残るのは⑦の朝比奈盤。当日当夜サントリーホールで実演を聴いたのだが、その感動たるや言葉で言い表せない。80年代朝比奈は体調不良等でその演奏にも翳りが見え始めていた頃。しかし、88年の暮れから始まった新日本フィルとのベートーヴェン・ツィクルスあたりからその芸術は尋常なものではなくなる。後の朝比奈ブームの先駆けとなる「名演奏」であり、8種ほどある朝比奈の全集の中でも白眉の1曲といえる。

その後、90年代中ごろの文化勲章受賞に至り、その人気は頂点に達し、猫も杓子も朝比奈、朝比奈と騒ぎ出し、チケットもそう容易にとれなくなる。しかし、そこは御大。全てのコンサートが決して良かったわけではない。出来不出来が激しいのだ。
最晩年のブルックナーの至高の名演は別格として、やはり90年前後がピークだったのではなかろうか。

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