木の間がくれに月のぼる

気のせいか月が少し欠けているように感じた。明日は月蝕のようだが、早くも・・・!!
念のため写真に収めたら意外に普通だった。それにしても12月に入ってからの雨は世界を浄化する水飛沫のようで、その後の乾いた空気に身を沈めると心身がすっきりする。今宵はほろ酔い気分でお月様を愛でながら無事帰宅・・・。

堀口大學訳「月下の一群」から一編。

徐々(しづしづ)とほの白く、
木の間がくれに月のぼる。
一片(ひとひら)の雲のごと軽ろらかに、
なほ碧き大空によぢ昇り且つは漂ふ。
~『午後の月』フェルナン・グレエグ

堀口先生の日本語は真に典雅で、しかも読む人の心情と拡がる情景を見事に交差させる。すーっと内側に響いてくるのだから何とも素敵。
今夜はクイーンを。

Queen:Sheer Heart Attack

1970年代前半の、怒涛のクイーン・サウンドは永遠なり。
1曲目の”Brighton Rock”からあまりに衝撃。Brianのギター・プレイ(後半は津軽三味線をどうしても思い出してしまう・・・笑)とFreddieのヴォーカルを中心としたコーラス・ワーク。かっこ良すぎる・・・。そして、このバンドを一躍有名にした”Killer Queen”!!ポップでありながら限りなくプログレッシブ。クイーンの真骨頂を示す傑作は40年近くを経た現代も決して色褪せない。
ところで、このアルバムには隠れた名曲が存在する(ほんとか?!)。Brian May作の1分強の音楽。この中には、すべての人々を勇気に導く「クスリ」が仕込まれている。

“Dear Friends”
So dear friends your love has gone(親愛なる友たちよ、君たちの恋が終わり)
Only tears to dwell upon(悲しみだけが思いを巡る)
I dare not say as the wind must blow(あえて勇気をもって言おう、風は吹かないと)
So a love is lost, a love is won(ひとつの恋が終わったからまた別の恋が生まれるんだ)
Go to sleep and dream again(眠りについてもう一度夢を見るといいよ)
Soon your hopes will rise and then(やがて希望が湧きあがり)
From all this gloom life can start anew(今のこの暗闇から人生は新しくやり直せるのさ)
And there’ll be no crying soon(もうすぐ悲しまなくて済むようになるよ)

人生は決して捨てたもんじゃない。

Brian作の”She Makes Me”もことさらに眩しい。クイーンはビートルズ同様、才能豊かな4人がそれぞれに個性を発揮し、ぶつかってaufhebenしたところに現出した孤高のバンドだと、特に初期のアルバムを聴くと感じる。このバランス感覚と融合感。20年前にフレディが逝った時点でやっぱりクイーンは終わっている・・・。


4 COMMENTS

雅之

おはようございます。

>明日は月蝕のようだが、

月の明かりは太陽光が反射しているだけです。つまり「他力本願」の象徴で、月の幻想に憧れるって、そういう深層心理なのかもとも思います。

>それにしても12月に入ってからの雨は世界を浄化する水飛沫のようで

世界を浄化した後、放射性物質を含んだ雨は、海を汚染し、魚介類に蓄積します。

震災後、雨の東京の夜が、絶えず酸性雨が降りしきり煙る、映画「ブレードランナー」での近未来(2019年)に重なって見えてしょうがありませんでした。私が最も愛するSF映画(1982年制作)、今年はBD
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BC-%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88-%E8%A3%BD%E4%BD%9C25%E5%91%A8%E5%B9%B4%E8%A8%98%E5%BF%B5%E3%82%A8%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-Blu-ray-%E3%83%AA%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88/dp/B003GQSXUY/ref=sr_1_1?s=dvd&ie=UTF8&qid=1323475721&sr=1-1
で何回観返したかわからないくらいです。

月の陰に憧れ、夜の新宿に住む岡本さんは、どんなに否定されても「フィルム・ノワール」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB
の世界の住人のように、私には魅力的に映ります。

それにしても、映画「ブレードランナー」、何回観ても切なくて切なくて・・・、時代はついに映画に追いついてしまった!って想いが強いです。

>人生は決して捨てたもんじゃない。

同感です。レプリカントにさえも「愛」があるのですから・・・。

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岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。

>「他力本願」の象徴で、月の幻想に憧れるって、そういう深層心理
「他力本願」という言葉はけっこうネガティブな意味で捉えられることが多いと思いますが、僕は「自力」と同様大切なことだと思います。この世の中で、人間が一番偉いのではなく、森羅万象を動かす「何か」に敬意を表して「他力本願」は重要です。

>映画「ブレードランナー」での近未来(2019年)に重なって見えてしょうがありませんでした
>時代はついに映画に追いついてしまった!って想いが強いです。

確かに「ブレードランナー」と重なりますね。しばらく観ていないので、あらためてゆっくり観てみようと思います。

>どんなに否定されても「フィルム・ノワール」の世界の住人のように、私には魅力的に映ります。

褒められているのか貶されているのか微妙ですが(笑)、そういう世界は実際好きです。

返信する
雅之

「他力本願」がネガティブな意味で誤用されているのは、よく知られた話ですよね。

比較的近年世間の話題に、2002年5月、オリンパス光学工業㈱(現在のオリンパス㈱)が全国紙に「他力本願から抜け出そう」というコピーで広告を掲載し、それに対し真宗教団連合が「広告の表現は多くの門徒の心を踏みにじる」と抗議をして、その後オリンパスは配慮が足りなかった点を謝罪した、ということがありましたよね。

因みに、この一流光学機器メーカーも、光の部分だけを強調し、「損失隠し」という陰の部分を隠蔽した重大で悪質な虚偽が、命取りになりそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B9

何事も「陰の部分を隠そうとしてみても、ろくなことはない」という、よい教訓でしょうね。

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岡本 浩和

>雅之様

>何事も「陰の部分を隠そうとしてみても、ろくなことはない」という、よい教訓でしょうね。

同感です。
これからの時代、何も隠せないでしょうね。「ありのまま」です(笑)。

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