King Crimson “Lizard”

歴代キング・クリムゾンの全アルバムの中で最も聴く回数の少ないアルバムがおそらく3枚目の「リザード」。始めて購入したのは30年近く前。もちろんアナログ盤だったが、その頃から「宮殿」「ポセイドン」、あるいは「アイランド」などは繰り返し頻繁にプレーヤーに載せるのに、この作品だけはどうにも食指が動かなかった。
それは今でも変わらない。久しぶりに思い出したように聴いてみても、正直面白いと思えない。いや、音楽的には多分面白いところもあるのだけれど、キング・クリムゾンとして聴いたときのインパクトがあまりに薄い点が評価を下げる。
そういえば、ロバート・フリップはいくつかコンピレーション・アルバム、いわゆるベスト盤をリリースしているが、この「リザード」からの楽曲は1曲も入れたことがないんじゃないか・・・(ライブでも演奏してないんじゃないかな・・・どうだろう?)。そもそも主宰する人間が葬り去るような作品群ゆえいくらクリムゾン・フリークと雖もなかなかエッセンスを汲み取るのは難しい。

メンバー構成を見てあらためて驚く。
素晴らしい才能たちが結集して創られた作品だから個々の楽曲はもちろん音楽的にも技術的にも目を見張るものがある。そして、実験精神に溢れているという点では一番と言っていいほど。でも、どうにも中途半端なんだろうな。他のアルバムは(80年代クリムゾン、90年代クリムゾン含め)どこをどう切り取ってもキング・クリムゾン以外の音がしないのにこれだけは誰の作品だったのかわからなくなってしまう瞬間が多々ある。ジョン・アンダーソンの歌う「ルーパート王子のめざめ」なんてそれだけ聴くと良い曲なのに。

当時フリップは迷っていたのだろう。
そしてメンバーとのコミュニケーションもままならなかったのでは・・・。
組織というものやっぱり「チームワーク」があって機能するもの。

King Crimson:Lizard

Personnel
Robert Fripp (guitar, mellotron, electric keyboards & devices)
Mel Collins (flute & saxes)
Gordon Haskell (bass guitar & vocals)
Andy McCulloch (drums)
Peter Sinfield (words & pictures)
With
Robin Miller (oboe & cor anglais)
Mark Charig (cornet)
Nick Evans (trombone)
Keith Tippet (piano & electric piano)
Jon Anderson (vocals)

タイトル・ソングは20分超に及ぶ組曲。前述の「ルーパート王子のめざめ」に始まり「ビッグ・トップ」で幕を下ろす。この音楽の規範はおそらくリムスキー=コルサコフの「シェエラザード」。オリエンタルな雰囲気を醸し出す挑戦的な作品だ。
強いて言うなら「ピーコック物語のボレロ」の郷愁感は堪らない。マーク・チャリグのコルネットとロビン・ミラーによるオーボエが絡む主題の懐かしさよ。そして2つが融合し、極めて前衛的な調べに落ち着くところ。1970年の実験精神に溢れる作品。


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