三たびラ・フォル・ジュルネ~ショスタコのピアノ五重奏曲!

昨日、たまたまチケットが確保できたので、三たびラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンを訪れた。
それにしても「ロシアの祭典」に集まる人々の多いことよ。有楽町のあの一角だけがものすごい人口密度。お祭なので当然なのだが、ここから数百メートルも離れるとGW中のむしろ閑散とした都心の景色が見られて、そのギャップに驚いてしまう。
果たしてクラシック音楽人口の裾野は広がっているのか?
このイベントも今年で8回を迎えるとのことだが、チケット収入は経費の半分ほどらしく、スポンサーがあってもまだまだ全部を賄いきれないらしい。個人や、法人の協賛を募る告知が至る所に掲示されており、なるほどこういうイベントの難しさをあらためて考えさせられる。昔僕がイベントに携わっていた頃はまさにバブル期で、日本中あらゆるところで冠コンサートなるものが催され、大変な盛り上がりを見せていたのが古き懐かしい思い出。ああいう時代はもう来ないのだろうか・・・。

ということで、またもやショスタコーヴィチ。ピアノで思考した作曲家の、ピアノ入りの絶美の五重奏曲

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2012
「熱狂の日」音楽祭2012”Le Sacre Russe”
2012年5月5日(土)14:00~14:45 東京国際フォーラム ホールB7 チェーホフ
ボロディン:ノットゥルノ~弦楽四重奏曲第2番ニ長調
ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲ト短調作品57
アダム・ラルーム(ピアノ)
モディリアーニ弦楽四重奏団
フィリップ・ベルナール(ヴァイオリン)
ロイック・リョー(ヴァイオリン)
ローラン・マルフェング(ヴィオラ)
フランソワ・キエフェル(チェロ)

ソビエト音楽に会議室の音響が妙に似合う。乾いた色気のない、いわゆる社会主義リアリズムの音がより鮮明に、そして直截に届く。その意味では、19世紀ロシア帝国の黄昏を記録するようなボロディンの音楽にはこの会場は不向きか・・・。ちょうど午睡時の(?笑)時間ということもあったのか、目を瞑って聴いているうちにうとうととしてしまった(それくらいにメロディアスで柔らかい音楽だということなのだけれど)。
そうこうする内、あっという間の序走を終え、いよいよお目当ての作品へ。
僕はいつもショスタコーヴィチのスケルツォに胸躍る。今度の五重奏についても然り。
何と素敵で、何と愉悦的で、しかも何て哀しげな響きを持つ音楽なのだろう。すっかり目が覚め(笑)、冴えた頭で聴いたその後の(語りかけるような)間奏曲と終曲は、すっかり会場の音響を超えて大いなる詩情に溢れる音楽と化していた(たぶん僕の勝手なイメージが音像をそうさせただけだと思うけれど)。消え入るように囁きかける最後のピアノの音にすっかり参ってしまった(涙)。(それにしても相変わらずのフライング気味の拍手よ。こういう音楽はもう少し余韻に浸ろうよ、と)

ところで、明日のイーヴォ・ポゴレリッチの協奏曲の夕べに備えて久しぶりにツィマーマン&ポーランド祝祭管によるショパンの第2協奏曲を聴きながら、思わず涙が出るほど感動中。こんなに良い曲だったっけ、とか何とか・・・。
特に明日は弦楽合奏版でしかも鬼才ポゴレリッチ(ちょうど2年ぶり!)ゆえどんな儀式が待っているのか、嬉しいような怖いような・・・(笑)。


4 COMMENTS

雅之

こんばんは。

こういうピアノ五重奏曲のよなショスタコ名曲中の名曲こそ、味気ない東京国際フォーラムではなく 、昭和の空気を濃厚に醸し出す日比谷公会堂でもやって欲しいんですよね(東京国際フォーラムからそんなに遠くないじゃん)。それなら魅力に負けて名古屋くんだりからでも駆けつけますよ(笑)。五月の日比谷公会堂の予定、本日だって「関係者」とかで、大した予定ではなさそうだし、「2012年5・3憲法集会」とか、「燃料価格高騰による経営危機突破全国一斉統一行動」とか、「裁判員制度廃止!全国集会」とかもいいですけど、もっともっと古い時代をリアルに実感することができるクラシックの殿堂として、大いに活用して欲しいものです。

鬼才ポゴレリッチ来日公演の話題についてですが、ピアノファンではない私は、曲目がショパンやリストでは別段ワクワクしないのですが、今回はちょっとだけ主催関係者として関わっています。

三井住友会場しらかわホール主催公演
イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノ・リサイタル
2012年5月13日(日) 14:15開場/15:00開演
http://www.shirakawa-hall.com/detail_20120513.html

ところが同日、別なコンサートにも後輩に誘われて断れなく、聴きに行く予定なのです。

名古屋大学交響楽団 第102回定期演奏会
愛知県芸術劇場コンサートホール
2012年5月13日(日) 17:45開場/18:30開演
http://search-event.aac.pref.aichi.jp/p/event_card_kouen.php?eventNo=1020110001610011
(前半は聴けない可能性大)

「ポゴレリッチさん、どうかあんまりリサイタルを盛り上げて長引かせないでください。
後の予定がありますので」っていうのが個人的な本音です(笑)。 

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雅之

会場の名称を間違えてはいけませんでした。

正しくは、三井住友海上しらかわホール です。

まだ席は残っています。
よろしければ、東京からも、ぜひお越しください!!

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
おっしゃるとおりですね。日比谷公会堂でやるべきです。
来年はどんなテーマなのか知りませんが、あのホールはぜひとも使った欲しいですね。

>今回はちょっとだけ主催関係者として関わっています。

ほんとですか!羨ましいですね。
しかもその日はダブルヘッダーですか!名大オケの方は「悲愴」はともかく、他の小品が珍しいもので聴いてみたいところです。素晴らしそうだなぁ。

>ポゴレリッチさん、どうかあんまりリサイタルを盛り上げて長引かせないでください。

葬送ソナタが45分+メフィスト・ワルツが20分で1時間超。休憩20分でノクターンが10分、リストのソナタが45分でこれだけでも2時間半です。おそらく開演は押します。しかし、それでも18:30の開演ならぎりぎり間に合うんじゃないでしょうか?あ、スタッフならばすぐ出れないですね・・・。
当日突然曲目を増やすなんてことありますからねぇ。何とも言えません。
水曜日は同プログラムのリサイタルに行きますので、その時の具合で名古屋公演の予想もつくと思います。

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岡本 浩和

>雅之様

>まだ席は残っています。
よろしければ、東京からも、ぜひお越しください!!

あー、残念。その日はワークショップが入っております。

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