ヨーゼフ・ラインベルガーは決して忘れられてはならない作曲家だ

ブログを通じての出逢いというのは真に興味深い。
先日、「ヨーゼフ・ラインベルガーの美しさよ・・・」という記事にコメントをくださったみどりさんが”Music Door Academic”にご来場くださり、終演後にご挨拶に伺ったところ、わざわざ貴重なスコアをつけてラインベルガーの珍しいオルガン曲などが収録された音盤をプレゼントしてくださった。いろいろと宿題があるためまとまった時間がとれずしばらくそのままだったが、ベルクのコンチェルトを聴いてばかりというのも頭がおかしくなりそうなので(笑)、気分転換に楽譜片手にまずはラインベルガーの3曲のみ繰り返し聴いた(他にも珍しい作曲家の貴重な楽曲が収録されており、これは秘蔵の愛聴盤になりそう)。

灼熱の太陽を避けるように冷たい室内で聴くオルガンの響きは、まるで教会内の荘厳な空気を想起させ、身も心もすっかり解放され、活力が漲る。夏の暑い日の早朝に聴くのにすごく良いかも。
それと、残暑厳しい中ようやく秋らしさを感じさせる夜更けの虫の音をバックに心静かに耳を傾けるのも乙なもの。

ロマンティック・オルガン作品集
ジークフリート・カルク=エーレルト:
・ああ感謝せん、神に
・暁の星はいと麗しきかな
・目覚めよ
ヨーゼフ・ラインベルガー
・パッサカリア
・パストラーレ
・ヴィジョン
マックス・レーガー
・バッソ・オスティナート
・楽興の時
・カプリッチョ
ゲルハルト・ブンク
・メロディ
・スケルツァンド
・パストラーレ
・アレルヤ
カール・ホイヤー
・変奏曲
ヴィンフリート・ベーニッヒ(オルガン)

真に天国的で美しい。いずれも敬虔な祈りに満ちた教会音楽に違いはないが、「ロマンティック」というタイトル通り極めて人間的で、死と隣り合わせにあった中世の人々の恐怖を癒すような調べとは似て非なるもので、あくまで19世紀の「一般聴衆」を意識したマスターピースであると僕には思われる(J.S.バッハのオルガン作品やオリヴィエ・メシアンのそれはキリスト教的信仰心がないと理解が難しいが、ラインベルガーのこれらの作品は極端に言えば信仰心がなくとも楽しめるような)。しかし、そのことでこれらが作曲された当時はものすごく人気があった作品ではなかったのか・・・。ヨーゼフ・ラインベルガーは決して忘れられてはならない作曲家だ(もちろん二流作曲家などではない!)。
※ラインベルガー以外の音楽も面白そう。少し時間をかけてじっくり聴くことにしよう。

みどり様、重ね重ねありがとうございます。
あらためて感謝いたします。


6 COMMENTS

みどり

全くもって押売り以外の何物でもなく…失礼を致しました。
ご寛恕いただけましたら幸いです。

一見(一聴?)地味な小品集ですが、
中でもラインベルガーの「パッサカリア」は出色。
J.S.バッハのどのオルガン曲と比較されても遜色ない名曲だと
私は思います。

オルガンは残響が命!(笑)
是非とも生で聴いてみたい楽曲の一つです。

奏者のベーニッヒ氏のJ.S.バッハはこちらでお試しを。

返信する
岡本 浩和

>みどり様
おはようございます。

>全くもって押売り以外の何物でもなく…失礼を致しました。

いえいえ、とんでもございません。
興味深い音盤をありがとうございます。

>J.S.バッハのどのオルガン曲と比較されても遜色ない名曲だと私は思います。
>オルガンは残響が命!

同感です。
僕も一度生で聴いてみたいです。
ベーニッヒ氏のバッハ映像もありがとうございます。

返信する
みどり

朝早くから本当に申し訳ありませんでした。
穴があったら埋まりたいレベル…!

一般的なイメージからすると、むしろ他の2曲の方が
ラインベルガーらしく聴こえる楽曲であると思われますが、
これら3曲が含まれる「12の性格的小品」(Op.156)の存在自体
この音盤で初めて知りました。

ラインベルガーを聴いていなければ
岡本さんに出逢うことは恐らくなかっただろうと思います。
音楽がそうしたものを運んでくれるというのも
有難いことだと思うのです。

今日は「早わかりクラシック音楽入門講座」がおありでしたね。
皆さんにもまた新たな出会いがもたらされることでしょう!

返信する
岡本 浩和

>みどり様

>音楽がそうしたものを運んでくれるというのも有難いことだと思うのです。

おっしゃるとおりですね。僕もある方から偶然いただいたものですから、でなければあの記事は書かなかったわけで・・・。不思議なものですね。

本日はこれから講座です。何と入門者にベルクのコンチェルトです(苦笑)。
どうなることやら・・・。

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