エリクソン「ヨーロッパ合唱音楽の歴史」

すみだ学習ガーデンさくらカレッジの第2期講座最終回を終えた。
本当にあっという間の1年。ご参加いただいた方々には感謝の言葉もいただき、市民の生涯学習としてのクラシック音楽講座に関わることができてとても良かったと実感する。音楽の効用というか、多くの方々がもっとクラシック音楽について知りたい、様々聴いてみたいという想いを持っていらっしゃるということもよくわかったし。
これで一旦幕を下ろすと思いきや、いやいやどうして、2013年4月開講講座の依頼が早速舞い込んだ。ということで、半年の休養(?)をいただいて来年春から第3期がスタートすることになる。

振り返ってみて、結局自分が一番楽しんでいるのかも、そんな思いが過った。
専門的な教育などひとつも受けていないのに、ただ好きで聴き続けてきた知識がこういう風に役に立つということを目の当たりにし、準備段階からとにかく楽しくて仕方がない。「好きこそものの上手なれ」ということか・・・。

さて、明日は中秋の名月。今夜の月もほんの少し霞がかって神秘的だ。それに大きい。
いよいよ秋らしい季節の到来だが、台風のせいかだいぶ蒸し暑い。こういう日は神がかった音楽でも聴いてみようか。ただし、あくまで人声を手段にする神秘音楽を。

エリック・エリクソンが60年代から70年代にかけて録音した合唱音楽の集大成。EMI ミュージックとタワー・レコードのコラボによる。何と6枚組で中世から現代に至るヨーロッパ合唱音楽の歴史が一望できる。
中から1枚を取り出し、繰り返し。

バルトーク:4つのハンガリー民謡(1930)
リゲティ:
・朝(1955)
・夜(1955)
・ルクス・エテルナ(1966)
ジェズアルド:行け、わがため息よ(1611刊)
ガストルディ:勝利の愛(1591刊)
モンテヴェルディ:波はささやく(1590刊)
ロッシーニ:
・ゴンドラの船頭
・新年に乾杯
・舟遊び
ペトラッシ:ナンセンス(1952)
ピツェッティ:2つの合唱曲
カスティリオーニ:ジロ(1963)
ケルスティン・ヒンダルト(ピアノ)
スウェーデン放送交響楽団団員
エリック・エリクソン指揮ストックホルム放送合唱団、ストックホルム室内合唱団(1970.7&1971.5録音)

僕は合唱作品に目がない。特に「無伴奏」となるとそれだけで震えが止まらないほど感動してしまう。人の声の気高さが実に直接に届くところが堪らない。ちなみに、大学入学時にかの有名な混声合唱団に入部しようと試みたが、あまりのレベルの高さに怖気づいたのと、雰囲気が何だか当時の僕のスタイルにそぐわなくて2回ほど練習に参加してやめてしまった。今から考えるとだいぶ後悔もあるのだけど。
それにしてもこの音盤に収録されている音楽の多様さよ。古いところは中世のモンテヴェルディやジェズアルド。ベートーヴェンと同時代のロッシーニの珍品のほか、ペトラッシ、ピツェッティ、カスティリオーニという20世紀イタリアの誇る作曲家たちの傑作群。

ヨーロッパの音楽史はキリスト教に根付くものだが、世俗曲には自然を題材にしたものも多い。日本古来の八百万(やおよろず)ではないけれど、生けとし生けるものに神(すなわち愛)が宿っていることを太古から人間はそもそも知っていたのだろう。


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む