Someday My Prince Will Come

久しぶりに休んだ。
要は予定が何もない1日。こういう日は貴重だ。朝から掃除をし、ようやく年賀状を書いた。
で、BGMはチャールズ・アイヴズのピアノ・トリオほかの室内楽曲と歌曲を収めた1枚。アイヴズの音楽はいたるところに民謡などの引用がある。方法が実にお洒落で、聴いていてつい耳を奪われる。それと、ディズニー映画「白雪姫」からのポピュラー・ソングをタイトル名に冠したマイルス・デイヴィスのこれまた洒落た傑作を・・・、交互に・・・。

かれこれ50年以上が経過するアルバムだけれど、この頃のマイルスは尖り過ぎてないし、何だかとても余裕があるように思う。まぁ、新婚(前年の末にジャケットのカヴァーに登場するフランシス・テイラーと結婚している)ということが大きな一因だろうけれど(いや、マイルスに限ってはそんなプライベートなことはまったく関係ないのかも。いずれにせよ世の中のあらゆるジャズ・ファンが認めるであろうマスターピースをここで残しているのである)。クリスマスに無条件に相応しい1枚なのである。

子どもの頃、「白雪姫」をはじめとするグリム童話はよく読んだ。
でも、子ども向けのものはかなり脚色されており、原作がいかに残酷なのかを大人になって知ったときには少々驚いた。白雪姫は王子様の力によって生き返るのではなく、喉につっかえていた林檎の欠片が、棺を担いでいた家来が木に躓いた拍子にとれたようだし(笑)、継母の王妃は真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされて死ぬまで踊り続けさせられたというのだから恐ろしいもんだ。

そんな大人の物語を想像しながらマイルスを聴く(笑)。マイルスの「いつか王子様が」は優しく甘く、そして美しい・・・(なんて斬新でかっこいいのか)。

Miles Davis:Someday My Prince Will Come

Personnel
Miles Davis (tp)
John Coltrane (ts)
Hank Mobley (ts)
Wynton Kelly (p)
Paul Chambers (b)
Jimmy Cobb (d)
Philly Joe Jones (d)
(1961.3.7 & 20-21録音)

タイトル曲と5曲目”Teo”にコルトレーンが参加する。彼は既に前年の春にマイルスのバンドを離れていたが、この曲の録音時(すなわち1960年3月20日)、アポロ劇場での2回のセットの合間に突然スタジオに現れ、飛び入りでテナーを吹いたのだと。さらに翌日、トレーンは舞い戻り、”Teo”でも演奏、いよいよこれがマイルスとの最後のセッションとなったということだ。

うーむ、予想だにしなかったセッションが実現しながら、実に「予定調和」的に音楽が進行し、最高の演奏として披露されているところがマイルスとコルトレーンの為せる業(さすがにコルトレーンは少々控えめかな・・・、そんなことはないか・・・笑)。


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