ソウルメイツとやら

さすがに講義のはしごをすると少々疲れた。
学生と自分との間の「気」をゼロにしてバランスをとろうと常々心掛けるが、この時期は彼らも多少の緊張感の中にあり、どうも僕自身もその影響を受けてしまうのか、バランスをとるのに妙なエネルギーを使ってしまう。
帰宅して、何となくもう横になって寝てしまおうかとも思ったが、なかなかそうもいかず。
ジャズでも聴きながらぼーっとブログでも書こうとするが、なかなか定まらず。
だったらあらためてストラヴィンスキーかプロコフィエフなどの20世紀ロシア音楽かとも考えるが、そんな気分にならず。
そんなこんなで棚を漁ったところ、こんなアルバムを持っていたんだと自分に驚く。
30~40年代にデューク・エリントン楽団で活躍したベン・ウェブスターが若きジョー・ザヴィヌルと組んで録音した素敵なアルバム。
20世紀は政治的には米ソの冷戦が軸であったが、意外に音楽的にもそうなのかも。そこにパリのキャバレーの猥雑な景色が絡んでくると何とも表現し難い気分になる。

ストラヴィンスキーもラヴェルも、この時代の大作曲家は皆ジャズ音楽の影響を受けた。そして、その逆もまた真なり。一流のジャズ・ミュージシャンは明らかにヨーロッパのクラシック音楽のイディオムを自らの音楽的センスと合致させ、独自の音楽を開拓しようとする。
ウェブスターがウィーン生まれのザヴィヌルと組んだのも、いわゆる欧州の美的センスを上手く取り入れ、新たな音楽創造にチャレンジしようとしたからではないのか(あくまで僕の勝手な独断と偏見)。

Ben Webster and Joe Zawinul:Soulmates(1963.9.20&10.14録音)

Personnel
Ben Webster(ts)
Thad Jones(cor)
Joe Zawinul(p)
Richard Davis(b)
Sam Jones(b)
Philly Joe Jones(ds)

眠気を誘い、豊かな睡眠の導入にもってこいかと思いきや、何と目が覚める。
それくらいにフレッシュで、しかも刺激に満ちた音楽エネルギーが放出される。
バラードはあくまでしっとりと情緒豊かに、朗々と。アップテンポの曲については軽快に、とはいえ浮つかず地に足をつけといった感じ。
いやはや「ソウルメイツ」というタイトル通りのコンビなり。
良いCDだ。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。

>一流のジャズ・ミュージシャンは明らかにヨーロッパのクラシック音楽のイディオムを自らの音楽的センスと合致させ、独自の音楽を開拓しようとする。

そして、やがてロックからも・・・ですね(笑)。

「アガルタ」 マイルス・デイビス
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%82%BF-%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B9/dp/B00004VUJP/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1334178461&sr=1-1

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。

>そして、やがてロックからも・・・ですね

はい。
「アガルタ」についてはほとんど聴いておらず、コメント不能です。
マイルス理解少しずつ深めていきたいと思っております。

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