プーランクの20枚組のボックス・セットから1枚を取り出した。
いわゆる管弦楽曲を収めたものだけれど、エスプリに満ちていて70数分が夢見心地に過ぎてゆく。
Genesisの傑作アルバム”Selling England By The Pound”。”The Cinema Show”には、なぜかギリシャ神話の預言者テイレシアスが登場する。そこで、9年ごとに性が入れ替わる御方に「わしはな、世界中を渡り歩いてきて、知らないことはひとつもないんじゃよ」と語らせていることが思い出された。
そういえばフランシス・プーランクは両性愛者だった。なるほど、彼の膨大な作品群のどの部分をとってみても20世紀に書かれた音楽とは思えない美しいメロディと、生真面目な中に常に遊び心を忘れないという方法にポピュラリティが感じられ、しかもどの側面も革新に満ちていることを考えると、テイレシアスの如く彼にはすべてがわかっていた、見えていたのかも。
それと、少年の頃にバレエ・リュスによる「春の祭典」や「パラード」を観て感激したというエピソード。あの時代のあのスキャンダルを正面から受け容れることができたという感性。純真でありながらやっぱり先を見通す力に長けていたのではと。
「シンフォニエッタ」には聖俗、洒脱下品、明暗・・・、縦横上下あらゆる情感が詰まっている。その意味で真に「空間的」!これは30分近く要する立派なシンフォニーだけれど、なぜか「シンフォニエッタ」。ネーミングのセンスひとつとっても洒落ているのだから・・・。言い過ぎかもしれないけれど、モーツァルトの音楽の高尚なところをよりスノッブにし、俗っぽいところをよりお下劣にという感じかな(モーツァルトと比較すべきではないだろうけれど、プーランク自身が最も尊敬する音楽家の一人がモーツァルトということだからそんな風に考えるのも良かろう)。
それに「グノシエンヌ」のアンニュイなアレンジは、その辺のミステリー・ドラマのBGMじゃなかろうかと思われるほど。まったく巧い・・・。
驚きはオルガン協奏曲!(長らく耳にしていないミュンシュがボストン・シンフォニーと録音した音盤を持っているけれど、昔こんな鮮烈な印象を受けなかったものだから)
荘厳なオルガンの響きと弦楽オーケストラとの協演。3部構成のこの音楽を聴いていると、後のプログレッシブ・ロックと共通の波長を感じる。かっこいい。
フランシス・プーランク50年目の命日に。
岡本さん、オルガン協奏曲でオルガン演奏しているのデュリュフレです。
そこをもう少し強調していただきたい!
デュリュフレは作曲家としては残されている作品がとても少ないので
オルガニストとしての演奏に触れられるのは本当に有難いと思います。
BSOは小澤征爾とサイモン・プレストン(org)盤もありますね。
おー、プーランク。素晴らしいチョイスですね…さすがです。またまた勉強になります。
>みどり様
>オルガニストとしての演奏に触れられるのは本当に有難いと思います。
おっと、そうですね。あらためてこちらで強調させていただきます(笑)。
>ふみ君
今年はプーランク・イヤーだから実演でもいろいろと聴けそうで楽しみね。