酷寒の地であるがゆえに生まれた永遠の芸術作品。
ロシアの広大な地に渦巻く抑圧された感情と、抑えて、溜めて、抑えて、溜めて・・・、最後に大爆発する時の得も言われぬカタルシス。創造と破壊が一体となり、再生の予感に満ちる音楽はいつの時代も聴く者を魅了する。
例えばモデスト・ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」。
暗澹たる音調を示し、抑鬱的な響きを醸す音楽は、モーリス・ラヴェルの天才を得て、一層ソフィスティケートされた作品に生まれ変わったが、果たしてムソルグスキーの真意を映し出せているかどうかはわからない。
ロリン・マゼールがクリーヴランド管弦楽団と録音した同曲も都会的センス満点で、聴いていて疲れず、実に良い音楽だと感じさせるものの、どういうわけか後に残らない。音楽の根底に流れる「溜め」というものがスポイルされてしまっているように僕には思えるのである・・・。「カタコンベ」はもっと深刻に、もっと暗く、もっと不気味に表現してほしい。続く「バーバ・ヤーガ」ももっと恐怖を煽ってほしい。「キエフの大門」の大団円は意外にも大人しい。美しいけれど。
ムソルグスキー:
・交響詩「はげ山の一夜」(リムスキー=コルサコフ編曲)
・組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編曲)
ロリン・マゼール指揮クリーヴランド管弦楽団(1978.10.20録音)
久しぶりに、エマーソン・レイク&パーマーを聴いた。
そういえば、昨年3月のキース・エマーソンに続き12月にはグレッグ・レイクも亡くなっていたのだった。時代の移り変わりと世代交代を余儀なく実感させられる出来事多々。嗚呼、悲しい・・・。
1970年前後のポピュラー音楽界の革新というのはそれこそ飛ぶ鳥を落とす勢い。
ムソルグスキーの名曲がロック音楽にアレンジされ、抑圧されたものが一気に解放され、何とパワフルに息を吹き返していることよ。たった3人で繰り広げられる壮絶な音楽はムソルグスキーの魂を抉る。
・Emerson, Lake & Palmer:Pictures at an Exhibition (1971)
Personnel
Keith Emerson (pipe organ, Hammond organs, Moog modular synthesizer, clavinet)
Greg Lake (bass guitar, acoustic guitar, vocals)
Carl Palmer (drums, percussion)
「古城」の旋律を借り、グレッグが歌う。
Come share of my breath and my substance
And mingle our streams and our times
In braided, fitted moments…
Our reasons are lost in our lies
何と意味深い・・・。
続く原曲にはない”Blues Variations”の壮絶なアンサンブルに釘付けになり、「プロムナード」を経、「バーバ・ヤーガ」から「キエフの大門」に向う勢いは、観客の異様な熱狂とも相まって悶絶のエネルギー。
They were
Sent from the gate
Ride the tides of fate
They were
Sent from the gate
In the burning of our yearning
For life to be
Ah, to be
To be!!
There’s no end
To my life
No beginning
To my death
Death is life
死と生はひとつの環で結ばれる。とするなら、グレッグ・レイクの魂は永遠だ。「展覧会の絵」とともに。
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>死と生はひとつの環で結ばれる。
「輪廻する宇宙 ダークエネルギーに満ちた宇宙の将来」 (ブルーバックス) 横山 順一 (著)
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こんな本も面白いですよ。何かヒントになるものが得られるかもしれないから、そのうち電車の中かどこかで一読してみてください。
>雅之様
相変わらず面白そうな本のご紹介ありがとうございます。
読んでみます。
[…] ここ数ヶ月のうちにグレッグ・レイクもジョン・ウェットンも(いずれも癌で)逝ってしまったことが哀しい。 […]