ショパンの晩年の諸作に一撃を食らった。舟歌作品60もバラード第4番作品52も、あるいはワルツ作品64も神々しいばかりの味わいを呈す。天才の確たる構成で一部の隙もなく。
モーツァルトもベートーヴェンも。もちろんショパンも、どれほど神の御加護を受け、傑作を残そうと所詮は人間。凡人の我々からしてとんでもない所業も多々あり、決して尊敬に値する行いは多くないというのは事実。そんな類稀な作曲家の人生や、当時の時代諸相を分かち合いながら音楽を聴くことの醍醐味・・・。
ホロヴィッツを聴いた、皆が寝静まる夜中に。
恐るべきテクニックを持ちつつ音楽的感性に長けるこのピアニストの演奏は常に群を抜く。特に、60年代のそれは並大抵でない。カーネギーホールでのライブ演奏を収録したレコード(20AC-1527)。ショパンだけでなく、古今東西のクラシック音楽を牽引した音楽家の楽曲が久しぶりに聴いた僕の心を完璧に捉える。
ホロヴィッツ・オン・TV
ショパン:
・バラード第1番ト短調作品23
・ノクターン第15番ヘ短調作品55-1
・ポロネーズ第5番嬰へ短調作品44
スカルラッティ:
・ソナタホ長調L.23
・ソナタト長調L.335
シューマン:アラベスクハ長調作品18
スクリャービン:エチュード嬰ニ短調作品8-12
シューマン:「子どもの情景」作品15~トロイメライ
ホロヴィッツ:ビゼーの「カルメン」の主題による変奏曲
ウラディミール・ホロヴィッツ(ピアノ)(1968.2.1Live)
この頃のホロヴィッツは無敵。ショパンのいずれの曲においても裏打ちされたテクニックを背景にニュアンスに富み、真に活き活きとした音楽が繰り広げられる。B面頭のスカルラッティなど涙もの。昔、初めてこの作曲家の音楽に出逢った時のことが思い出されるよう。さらに、スクリャービンの作品8-12は天下一品。このデモーニッシュな音楽がいかにもまろやかに聴こえるのだから大したもの。「トロイメライ」は相変わらずの静謐さ、そして祈りの念。
早わかりクラシック音楽講座@一番町第1日目を終え、心地良い気分。
ショパンとサンドの恋愛関係をメインテーマにお話を進行した。もちろん披露する楽曲はその当時の諸作。ピアニストの児島洋子さんのご協力の下、ショパンに浸った。
それにしてもマズルカはいずれも絶品!
マズルカを語らずしてショパンを語るなかれ。絶筆のマズルカヘ短調作品68-4では思わず涙がこぼれそうだった。
明日は第2日目。また良い日になるだろう・・・。
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こんにちは。「ホロヴィッツ・オンTV」は、私が初めて買ったホロヴィッツのアルバムで(当時はLPでした)、
訳も分からず|なんかすげ~」と聴き込んだ一枚。
「バラード第1番」はこれで刷り込まれたので、波の演奏では物足りない体質にされてしまって困ったもんです。
テクニックと音楽性がうまくかみ合った絶頂期のホロヴィッツのライヴ、必聴ですね。
近々発売されるホロヴィッツのボックス・セットに、「ホロヴィッツ・オンTV」のDVDが付属するそうです(多分初出)。
か、買おうかな・・・。
>木曽のあばら屋様
初めて買ったホロヴィッツのアルバムでしたか!!
僕もこれはアナログ盤で聴いております。
おっしゃるようにこのバラード1番は絶品です。「なんかすげ~」という気持ち、よくわかります(笑)。
DVDが付属するんですか!!それは魅力的です・・・。
[…] 「ホロヴィッツ・オン・TV」と題するアナログ・レコードを手に入れたのは1982年のことだったと思う。すべてが鮮烈だった。僕は繰り返し擦り切れるほどに聴いた。 先年、このときの無 […]