The Mamas & The Papas:Greatest Hits

時折ビートルズを聴きたくなる。
“PAST MASTERS・VOLUME ONE”を聴いて強く思った。
ポールのアルバムにも、ジョンのアルバムにも、ジョージやリンゴのアルバムにもない「調和」があそこにはある。特に、初期の荒々しい所作の中に4人が完全にひとつになって音楽を演奏する美しさがある。やっぱり彼らは奇跡だ。

人の人生というのは感情の鬱積と開放の繰り返し。
ある時期、溜めて、溜めて、溜めて・・・、そして次の瞬間、吐き出して、吐き出して、吐き出して・・・。そもそも生きる源泉である呼吸がそういうものだ。僕は初期ビートルズの中に、ある瞬間感情の鬱積を見る。ロック音楽というものが歴史的に「反抗」というものの表現形態のひとつゆえ、当然そういう感情は内側にあるだろう。特に、ブリティッシュ・ロックにそのあたりの暗く重い感情の堆積を見る(イギリスの風土を反映する)。

ところが、それがアメリカン・ロックとなると、同じ「反抗・反骨精神」が源泉であるにもかかわらず、出てくる音がまるで違う。ビートルズの”I Call Your Name”ママス&パパスのカヴァーで聴いてそんなことを思った。西海岸の、カリフォルニアの海や風を背負っているせいか基本的にすべてが「開放的」。それと、ビーチボーイズに優るとも劣らないハーモニーの妙。(あくまで僕の独断的感覚ね)

The Mamas & The Papas:16 Of Their Greatest Hits

Personnel
John Phillips
Michelle Phillips
Cass Elliot
Denny Doherty

“Monday, Monday””California Dreamin’”・・・、”Dancing In The Street”、嗚呼、何て美しい。
それにしても興味深いのは「芸術をする」人たちの間に起こる男と女の問題。ママス&パパスもグループの中でトラブルがあった。そう、ワーグナーだってそうだ。

人間は聖人君子にはなり得ないということ。特に芸術の場合、聖と俗とが交わるところに「美」が収斂されてゆく。つまり、「俗」だけでは作品にならず、同じく「聖」だけでは普遍性を獲得しないということだ。

創造者たる者、ともかく様々な経験をせよ。
失敗を恐れるな。
何事もチャレンジなり。

人間存在の酸いも甘いもすべてを受け容れる器となるのが芸術。音楽はその最たるもの。よって始めがあり、終わりがある。閉じられた世界でないと、そもそも人間が認識できない。しかし、その認識を超えたところに「覚醒」があるのだと僕は想像する。

さて、難しいことは横に置いて、ママス&パパスを聴こう。嗚呼、気持ちいい・・・。

 


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