The Beach Boys:Pet Sounds 40th Anniversary Edition

愛というものは意図するものではないのだと、ビートルズを聴いて思った。当然彼らは聖人じゃない。愛に溢れた言動はあったろうけれど、喧嘩だってするだろうし、嫉妬だってするだろう、僕らと何ひとつ変わらない「普通の人」であるはず。でも、さすがにこれだけ有名になってしまうと、どうしても「そういう意味合い」のフィルターをかけ、僕たちは「そういうもの(愛)として」ビートルズを聴いてしまう傾向もなくはない。
何年か前に、”LOVE”と題するビートルズのニュー・アルバムがリリースされた。それはビートルズのオリジナル楽曲をノンストップでつなぎ合わせ、しかも切ったり貼ったり、何重にもミックスされた代物で、即座に買ってみたものの一聴僕は閉口した。冒涜とまでは言わないが、一種のお金儲けの臭いが漂い、抵抗感を感じた。お蔭でオリジナル・アルバムの素晴らしさが身に染みたというか(もはやビートルズをきちんと聴くことはなくなっていたから余計に)。

あらためて”LOVE”を聴いてみた。あの時感じた「抵抗感」は・・・、やっぱりあった。でも、間違いなく言えることは、ビートルズの音楽はどの楽曲も超一級品で、普遍不滅であること。特に”Hey Jude”は、他の楽曲と被せることなく、後半のコーラス冒頭までは「そのまま」聴かせてくれるので、この辺りの演出は相当憎い。プロデューサー氏は知っているんだ。この曲は別格だと(少なくとも僕はそう思う)。

音楽業界も不景気。音盤が売れなくなって久しい。だからアーティスト側も知恵を絞る。〇〇周年リマスター盤だとか、SACDフォーマット化だとか・・・。商売の罠(笑?)にはまらなければいいことなのだけれど、そうもいかない。特に愛するアルバムに関しては。
そういえば、こんなものが手元にあったんだと思い出し・・・。

The Beach Boys:Pet Sounds 40th Anniversary

Personnel
Al Jardine (lead, harmony and backing vocals, tambourine)
Bruce Johnston (harmony and backing vocals)
Mike Love (lead, harmony and backing vocals)
Brian Wilson (lead, harmony and backing vocals, producer, arranger, conductor, organ, piano, dog whistle, train whistle, sound effects incl. barking dogs)
Carl Wilson (lead, harmony and backing vocals, guitar, twelve-string guitar)
Dennis Wilson (harmony and backing vocals, drums)

新しいものが出るたびに手にしているかも。オリジナル・モノ・バージョンとステレオ・バージョン。これだけならともかく、「メイキング・オブ・ペットサウンズ」、2003年のブライアン・ウィルソンによる「ペットサウンズ」ロンドン公演抜粋、さらに1966年のプロモーション・フィルムなどが収録されていたものだから・・・。
とはいえ、付録などやっぱりどうでも良かった。
オリジナル・アルバムの14曲。オリジナルの順番で聴く。それがすべて。
こんなに美しい楽曲(しかもアレンジのセンスが満点!)が揃ったアルバムはない。その意味ではビートルズも後塵を拝する。
精神を病んでいたブライアンが中心になって、他のメンバーが嫌々参加してようやく成ったこのアルバムにこそ「愛」が感じられるのだから面白い。
やっぱり愛というものは意図するものではない(あるいは意識的にできることではない)ということ。

 


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