ナタリー・デセイのドビュッシー歌曲集

またしても酔狂気分で支離滅裂(あるいは意識朦朧)。
酒に酔うと妙に覚醒する。夜半にドビュッシー。ドビュッシーこそは音楽史の中での奇跡。若き日、ワーグナーに心酔するも、パリ万博でガムランの調べに出逢い、ここ(ワーグナー)にはもはや学ぶべきものは何もないと悟った天才。

全音階が「陽」であるなら、半音階は「陰」である。双方が寄りそうように在るのが「ひとつである」こと。最終形は「十二音」なのかもしれぬが、半音階の艶めかしい響きに若い頃の僕は卒倒した。でも、当時、ドビュッシーの「革新」はわからなかった。

ふわふわとした、地に足のつかないような音楽。20世紀のポピュラー音楽シーンに影響を与える彼の音楽たちは、酔っ払いを翻弄する。あ、素面は全音階、酔狂は半音階。そうとも言える(意味不明ですよね?)。

ドビュッシー:
・星の輝く夜に(バンヴィル詩)
・パントマイム(ヴェルレーヌ詩)
・月の光(ヴェルレーヌ詩)
・ピエロ(バンヴィル詩)
・現れ(マラルメ詩)
・声をひそめて(ヴェルレーヌ詩)
・艶なる宴(バンヴィル詩)
・ロマンス(ブルジェ詩)
・鐘(ブルジェ詩)
・中国風のロンデル(ディラール詩)
・波、棕櫚、砂(ルノー詩)
・アリエルのロマンス(ブルジェ詩)
・後悔(ブルジェ詩)
・水に落ちた水夫(ブショール詩)~世界初録音~
・死後のなまめかしさ(ゴーティエ詩)
・弓(クロ詩)~世界初録音~
・ロマンス(ブショール詩)~世界初録音~
・エルフ達(ド・リール詩)~世界初録音~
・カンタータ:選ばれた乙女(ガブリエル・ロセッティ詩)
ナタリー・デセイ(ソプラノ)
フィリップ・カサール(ピアノ)
パリ・ラ・ジューヌ合唱団(2011.11.12-13&22-25録音)

ドビュッシーの始まりはヴェルレーヌとの出逢いかも。いずれも当時新進の芸術家。各々の心眼に畏れ入る。「月の光」の得も言われぬ嫋やかさ。そして、何より「選ばれた乙女」のきらきら燦々と照らす太陽のような「包容」と、いかにも暗鬱とした「内省」の同居が見事。ドビュッシー25歳の作。奇跡である。

 


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