ルー・リードが死んだ。享年71。明らかに早過ぎる。人間だからいずれ死を迎えるのは当然なのだが、この人だけは死なないと思っていた。
僕はたった1度だけライブに触れたことがある。1990年8月6日、NHKホールで行われた盟友ジョン・ケイルとの”Songs for Drella”コンサート。アルバム1枚が完璧に再現された一夜。最高だった。アンコールでは、なんとジョン・ケイルが”Pale Blue Eyes”を歌ったんだった。忘れられない感動。ルーの生の姿を見たのはその一度きり。衝撃だった。
アンディ・ウォーホルへのオマージュ。
彼は胆嚢の手術の経過が悪化して死んだ。
チョコレートが彼の弱みだった。
彼がいないのはとても淋しい。
「Hello, It’s Me」
~ルー・リード
追悼の意を表し、さて何を聴こうか。ヴェルヴェッツが正当だろうが、ここはやっぱりソロを。長いこと追っていなかったので最近の彼がどんな活動をしていたのかまったく疎い。しかし、彼の長いキャリアを振り返ってみて思うのは、ルーの芸術の根底には間違いなく「愛」があったということ。しかもそれが決してストレートには出て来ない。つまり、暴力性と抒情性が混在し、いかにも前者がトレードマークのように思えるところがルーのルーらしいところ。
「ドレラ」の直後に発表された“Magic And Loss”を聴く。ルーの2人の親友が癌で亡くなったのをきっかけに生み出されたアルバム。
Personnel
Lou Reed (vocals, acoustic and electric guitar)
Mike Rathke (acoustic, electric and casio guitar)
Rob Wasserman (clevinger 6-string electric upright bass)
Michael Blair (percussion and drums)
なんとシンプルでソリッドな音でありながら実に色気に満ちた音楽たちであることか。
ルー・リードはおそらく「死」というものを「生」と同じ次元で捉える。”Dorita”-Spirit(ドリタ―精神)という名の序奏から音楽があまりに妖艶かつキャッチーなんだ・・・。
彼の歌声は、いわゆる「シュプレヒ・シュティンメ」というものだろう。ゆえに商業的には決して振るわなかった。とはいえ、20年を経て聴くこれらの音楽はまだまだ「生きている」。
今流れるのは”Cremation”-Ashes To Ashes(クリメーション―灰は灰へ)。
今や石炭のように黒い海が俺を待っている
真っ黒な海は永遠に待っている
肉体の滅びたルー・リードは今何を思うのか・・・?
あまりに・・・、悲しい。
人気ブログランキングに参加しています。クリックのご協力よろしくお願いします。
にほんブログ村
[…] ルー・リード死して2年が経過する。 彼のライブの底知れぬパワーを思い出す。そして、まるでシュプレヒ・ゲザンゲのような歌に異様な哀愁さえ覚える。彼は何のためにヴェルヴェッ […]