ジョワ&ロバン=ボノー「フランス近代ピアノ・デュオ作品集」を聴いて思ふ

musique_francaise_pour_deux_pianos_vol2何にせよ「対話」が重要。すべてがチームワークのもとにあるということ。
1970年代前半に記録されたとあるピアノ・デュオによるフランス現代音楽集。
やっぱり根底に流れるのは「解放」だ。

フランス音楽の前衛性にあらためて瞠目する。ストラヴィンスキーが「春の祭典」を初演するのになぜパリでなければならなかったか?その答を教えてもらったかのよう。

音の多彩さと複雑さにダリウス・ミヨーの先見と高貴さを見る。ダニエル=ルシュールの、バッハをモチーフにしながら、独自の茶化すような方法による新しい音楽に洒脱さを覚える。

三善晃氏がとあるインタビューで語った言葉が興味深い。

ピアノ・デュオに関して言えば、作曲の過程で音をデッサンして、それをそのまま完成品にしてしまう傾向が多く見られます。本当に自分が要求しているものに出会う前に、作品として完成されてしまうのです。これがピアノ・デュオ作品を作る上での大きな落とし穴であり、危険なところです。連弾や2台ピアノは作曲家にとってある意味便利なので、きちんと意識しないと、そうしたところに陥りがちです。他の編成を書く以上に、本当に自分にとって何が必要なのか、何を求めているのかをしっかり把握して、作曲に当るべきジャンルではないでしょうか。
そして、もうひとこと言えば、ピアノ・デュオの曲を書くなら、発想は大胆に、そして定着はあくまで臆病で慎重にすべきだ、とわたしは考えています。
~「音楽現代2004年9月号」P98

最後の「発想は大胆に、定着は慎重に」を体現するのがまさにこれらのフランス音楽たちなのでは?そんなことを考えた。

・デュティユー:響きの形
・ミヨー:4つの舞曲の2楽章
・ダニエル=ルシュール:コントラ・フーガ
・ルヴィエ:31人の侵略者のためのエチュード第8番
・ミハロヴィチ:カントゥス・フィルムス
・プティ:馬鹿騒ぎ
・ジョリヴェ:パチンコ
・オーリック:ドゥブル・ジュ
・コンスタン:祈祷論
・オアナ:ソロンゴ
ジュヌヴィーエーヴ・ジョワ(ピアノ)
ジャクリーヌ・ロバン=ボノー(ピアノ)

例えば、ジョルジュ・オーリックの「ドゥブル・ジュ」。この楽天的な響きに心奪われる。さらに、マリウス・コンスタンの「祈祷論」。もとは2段鍵盤のチェンバロ用に作曲されたもの(うまく説明できないが、いや、これはすごい)らしいが、止まることを知らない永遠の音の動きと、点描的な音の響きの対比に、2人の奏者の不思議な「対話」を垣間見る。

 


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