シュタイン指揮ウィーン響のフランツ・シュミット「7つの封印の書」を聴いて思ふ

franz_schmidt_buch_mit_sirben_siegeln_stein068ヨハネを演ずるエベルハルト・ブフナーの、様々な感情を湛えた調べに心動かされる。
第1部、「天上のプロローグ」におけるジュピター音型に似た、CDGFの4つの音の無限の反復に、この世が輪廻によって成り立つことを教えられるよう。

今おられ、かつておられ、やがて来られる方から、恵みと平和があなたがたにあるように。そして最初の方、地上の王たちの支配者、イエス・キリストからもあるように。
(津上智実訳)

元旦に新約聖書、ヨハネの黙示録に基づくフランツ・シュミットによる音波波状攻撃。この劇的な音楽は、宇宙開闢に始まる賛否両論予言の歌。かつて、ディミトリ・ミトロプーロスのザルツブルクでのライヴ録音を幾度も耳にしていたが、ここに極め付けホルスト・シュタイン指揮ウィーン交響楽団の名盤を聴く。

第7の封印を解く第2部冒頭の、崇高で敬虔なるオルガンに痺れる。

フランツ・シュミット:オラトリオ「7つの封印の書」
エベルハルト・ブフナー(テノール)
ロベルト・ホル(バス・バリトン)
ガブリエレ・フォンターナ(ソプラノ)
マルガレータ・ヒンターマイアー(アルト)
クルト・アツェスベルガー(テノール)
ロベルト・ホルツァー(バス・バリトン)
マルティン・ハーゼルベック(オルガン)
ウィーン楽友協会合唱団
ホルスト・シュタイン指揮ウィーン交響楽団(1996録音)

第2部、独唱者たちの四重唱直後の合唱の、強烈で壮大な音響に度肝を抜かれる。

神の怒りが当たったのだ。聞け!第5のラッパだ!第5の天使が吹き鳴らす!第5の災いだ!これらのラッパは、主なる神の裁きを告げる。これらのラッパは、この世の罪に対する神の罰を告げる。見よ、地上に落ちてきた星が、底なしの淵に通じる深い穴を開いた。すると、底なしの淵から黒い煙が立ち上り、そこから無数のいなごが出てきて、さそりのように人々を苦しめた。この人々は、切に死を望んでも、死ぬことはできない!
(津上智実訳)

神々に導かれ、世界中の人々がひとつになることが諭される。まさに2015年のあるべき姿なり。続くヨハネの独唱、そしてトロンボーンの神聖な響きに乗るロベルト・ホルによる神の声の深遠な調べに涙する。

わたしはアルファにしてオメガであり、初めにして終わりであり、最初の者にして最後の者である。渇いている者には、命の水の泉から飲ませよう。見よ、神の幕屋が人の間にあるのを!神は人と共に住み、人は神の民となる。神は彼らの目の涙をことごとくぬぐい取り、もはや悲しみも死もない。最初の者は過ぎ去ったからである。見よ、わたしは万物を新しくする!勝利を得る者は、これらのものを受け継ぎ、わたしはその者の神になり、その者はわたしの子となる。
(津上智実訳)

メビウスの帯の如く、魂は永遠にして滅びない。人々の内には神が在る。
そして、ハレルヤ合唱の感動的調べにあらゆるものが収束してゆく。

ハレルヤ、主に感謝せよ!主の慈しみと恵みはとこしえに続く!アーメン!幸いかな、まったき道を踏み、主の律法に歩む人は!主よ、おお、主よ、そこで耐え抜いた者を救ってください!
(津上智実訳)

最後のヨハネの歌で初めに在った光輪(CDGF)が回帰する。ここに永遠が表現される、フランツ・シュミットの最高傑作。それにしても、シュタインの堂々たるドイツ的重厚さ溢れる演奏に舌を巻く。これはミトロプーロス&ウィーン・フィルを凌駕する。

 

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