アバド指揮ロンドン響のヴェルディ序曲集(1978.5録音)を聴いて思ふ

verdi_overtures_abbado_lso407今日も月がきれい。
世の芸術はすべて宇宙と共鳴しているのだと思う。

すべてを包括的・複眼的に見ることのできる目が大事だ。しかしながら、多くの人は物事を単眼でしか見ない。何より短期的、目先重視なのである。全体観を真にインストールできたときに真に変革が起こるのだと思った。

ジュゼッペ・ヴェルディの成し遂げた仕事は人類史上他に類を見ない「歌」に溢れる。
リズムでありメロディであり、そしてハーモニーである「歌」こそが、いかに大事なものであるか。しかもこの「歌」には怒りも悲しみも愉悦も、あらゆる感情が刻み込まれるのである。様々な物語に音楽をつけ、しかもそれらの多くが現代にも残る名作として語り継がれるのだからその腕たるや並大抵でない。

その晩年に及ぶまで彼はなぜオペラを作曲し続けたのか?
その問いにヴェルディは答える。

私は常に完全を求め、いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があったのだ。

完璧主義者に卒業はない。少なくとも人間が創造するものに絶対はないゆえ。
だからこそ死ぬまでやり続けるのである。

ヴェルディ:序曲集
・歌劇「ナブッコ」序曲
・歌劇「アイーダ」序曲
・歌劇「運命の力」序曲
・歌劇「アロルド」序曲
・歌劇「ルイーザ・ミラー」序曲
・歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団(1978.5録音)

何と溌剌として陽気な、アバドらしいヴェルディであることか!初期の「ナブッコ」から後期の「運命の力」や「アイーダ」の序曲を並べたこの音盤の魅力は、若きアバドの勢いあまる前進性とパッションにある何より音楽は終始うねり、咆哮する。
「シチリア島の夕べの祈り」における静謐さと、その名の通り溢れる祈りの念に感動。「アイーダ」序曲も、通常の前奏曲でなく、初演で演奏されなかった序曲。これがまた素敵な音楽。

満月後の月が輝く。
僕たちは月の裏側を知らない。
どんなものにも「裏」がある。二元を超えたその地点にすべての真理が隠されているのだろう。

 

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4 COMMENTS

雅之

>僕たちは月の裏側を知らない。
>どんなものにも「裏」がある。二元を超えたその地点にすべての真理が隠されているのだろう。

おう!! 久々に決めゼリフとまいりましょう!!(何年ぶりかな? 笑)
せいのっ!!

There is no dark side of the moon really. Matter of fact it’s all dark.

返信する
雅之

ウォーターズによるアコースティック・バージョン、いいですねぇ!
私も身に染みました。ご紹介いただき、感謝です。

おかげ様で昨夜、満月の夜に吉田松陰先生から松下村塾で「諸君、狂いたまえ」とそっと唆されたという、じつに有難い夢を本当に観ることが出来ました(爆)。

http://matome.naver.jp/odai/2136677037722655201

http://bakumatsu.org/blog/2012/05/syoin.html

返信する
岡本 浩和

>雅之様

「諸君、狂いたまえ」とはいいですねぇ!!(笑)しかも夢で見るとは!!
「狂愚」をマイルストーンに僕もがんばります。

返信する

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