東京ディズニーシー、そして「ピーターと狼」

prokofiev_peter_gergiev.jpg何とイーヴォ・ポゴレリッチの来日公演中止というお知らせが突然送られてきた。どうやら本人の急病ということらしいが、納得のゆくベストの状態で我々の前に姿を見せることができないと判断した上での決定なのだろう(実際に病気なのかもしれないが)。こういう個性的なアーティストは皆そうだと思うが、とにかく自分自身の精神状態を重視する(自己管理がしっかりしており、お金儲けに目が眩んで決して無理をしない)。それは最高のサービスをするためには自分の状態が最高潮でなければならないということでもあり、できるときはやる、できないときにはやらないという白黒はっきりさせる潔い態度が逆に好感持てる。2年ぶりの公演だったゆえとても楽しみにしていたのだが、こればかりはいたしかたない。何とも素敵な(?)クリスマス・プレゼント第1弾。
イブのひと時「童心」に戻って過ごそうと、昼から「東京ディズニーシー」を訪れた(似合わないなぁ・・・笑)。素敵なクリスマス・プレゼント第2弾。都合8時間ほどのんびりゆったりと楽しく過ごすことができた。まずは、アメリカンウォーターフロントでのショー「オーバー・ザ・ウェイブ」。次に、アラビアンコーストのアトラクション「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」を軽く。そして、おすすめのロストリバーデルタでのショー「ミスティックリズム」を堪能し、さらにアトラクション「レイジングスピリッツ」と続き、最後はメディテレーニアンハーバーで行われた「キャンドルライト・リフレクションズ」。とてもきれいでした。
しかし、さすがに疲れた。あれだけ大勢の人たちに囲まれていたということもあるし、ほぼ立ちっぱなし、歩きっぱなしの状態だったので当然か。もうしばらくは来なくていいかな、という感じ。やっぱり人工的な「造りもの」感は否めない。悠久の時間を体感できる「自然」に勝るものなし。こういう日は生で名演奏を聴いて癒されるのが一番だが、さすがにそうもいかない。

プロコフィエフ:子どものための音楽物語「ピーターと狼」作品67
パウル・ドゥ・レウ(ナレーション)
ワレリー・ゲルギエフ指揮ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団(1996.12Live)

物語の内容は極めて単純。しかし、そういう簡明さの中に「弱肉強食」という自然社会の掟と、人として正しい生き方とは何なのかを示唆するもの。嗚呼懐かしい。小学校の音楽の時間に「聴かされた」ことを思い出す。物語は各国語に翻訳され、あまりに通俗的なので、日常的にはほとんど聴くことはないが、亡命から再び故国ソ連に戻ったプロコフィエフがモスクワの子どもたち、そして自身の子どもたちのためにわずか数日で完成したという名作だけあり、聴けばそれなりに楽しめる。そういえば先日のロンドン響との来日公演でゲルギエフはこの「ピーターと狼」を自身のナレーション付きで披露したようだが、内容的にはどうだったのだろうか?この楽曲のためだけに演奏会に行く気はさらさらないが、後半の「ロミオとジュリエット」抜粋とあわせてとても興味深いプログラムで、聴いてみたかった・・・。

※いつだったかタワーレコードで見かけて安価だったので何となく買ったCD。ナレーション担当のパウル・ドゥ・レウという俳優(?)のことはよくわからない。

2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
ボゴレリッチの来日公演中止は、本当に残念でしたね。私は現在地方暮らしでもあり、どちらにしても行けませんでしたが、最新のポゴレリッチの生演奏のご感想を、ぜひお聞きしたかったです。
ゲルギエフのプロコフィエフのチクルス、私も実に興味深かったのですが、あの強気のチケット代では、東京にまだいたとしても、演奏会に行くのは、二の足を踏んだと思います。
最近の外来の一流演奏家のコンサートやリサイタルは、かなり空席が目立つことが多いようですね。せっかくの名演奏も、もったいないことです。大不況下、ここ数年高騰の一途だった常軌を逸したチケット代を、来年は招聘元も見直さざるを得ないでしょうね。
「ピーターと狼」、ご紹介の盤は残念ながら未聴です。最近出たケーゲル&SKDも味があっていいですが、感慨深いデュ・プレの語りとバレンボイム&イギリス室内管による演奏が、私のこの曲の、思い出の愛聴盤です。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2749133

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おかちゃん

>雅之様
こんばんは。本当にポゴレリッチは残念です。感想をお聞かせしたかったです。それにゲルギエフのプロコ・ツィクルスに関しても確かにおっしゃるとおりです。高すぎます。
どうやらクラシック音楽界も不況で、2010年以降は外来のアーティストのコンサートは軒並み不調のようです。呼び屋が二の足を踏むようで。本当にもったいないことです。
>最近出たケーゲル&SKDも味があっていいですが、感慨深いデュ・プレの語りとバレンボイム&イギリス室内管による演奏が、私のこの曲の、思い出の愛聴盤です。
残念ながら、ケーゲル盤もデュ・プレ盤も未聴です。デュ・プレの語りによる「ピーター」聴いてみたいです。

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