罪を憎んで人を憎まず

bruckner_4_scmogner.jpgそれにしても「金」にまつわる事件が後を絶たない。もちろんお金はあったほうが良い。生きていく上で必要最小限のお金と、やりたいことを達成するための必要なお金さえあれば良いだろうに、人間は一度もってしまうとどんどん欲深くなるんだろう。それでも近しい人は「良い人」だという。そりゃそうだ。良い人に決まっている。人間は誰一人悪い人などいない。罪を憎んで人を憎まず、なり。

今日一日思考停止。風邪やインフルエンザではないと思うのだが、どうも頭がぼーっとして力が入らない。特に黄昏時から時間の経過と共に、ますます頭が働かなくなる。植物の光合成じゃないが、人ってやっぱり太陽のエネルギーを身体中に浴びて「生きている」んだということを実感する。

そんなときはあえて無音で過ごしてみるのもよいのだろうが、棚を漁り、何となく取り出したのがブルックナーの音盤。それも彼の壮大な交響曲をオルガン独奏用にアレンジした世界初録音という代物。もう長いこと聴いていない(というより購入した直後に一度聴いたきりかもしれない)。本来大オーケストラで演奏されるべく創られたブルックナーの交響曲をオルガンひとつで表現しようというのだからさすがに無理はある。ただし、敬虔なプロテスタントであったブルックナーの思考の原点がオルガンであったことから、ブルックナーの頭の中に最初に鳴った音、あるいは彼の頭の中だけで鳴っていた音と捉えればそれはそれで面白いのかもしれない。

ところで、ブルックナーの音楽は基本的に「単色」だと僕は思っている。それにもかかわらず微妙な色の変化を楽しめるように創られているのだから、まるで一世一代の「墨絵」である(もちろん異論ある方もいらっしゃるだろうが)。

ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1878/80年版)
トーマス・シュメークナー(オルガン)
※どうやら廃盤のよう。

耳に邪魔にならず、疲れた身体に負担にならない「祈り」の音楽。これはブルックナーという天才作曲家の、まだアウトプットする前の、極めて「個人的」な音楽である。

そういえば、ブルックナーもお金に縁がなかった人だ。謙虚で素直で・・・、少々変人だろうが・・・(笑)。

2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
ご紹介の、「ロマンティック」のオルガン独奏用にアレンジした版は未聴くです。ただ、ブルックナーの頭の中に最初に鳴った音、ということであれば、1974年の第1稿で演奏して欲しい気もしますが・・・。
ブルックナーという人、周囲の人の意見で「ぶれ」まくりましたよね。しかし無理解な周囲の人たちの忠告によって「ぶれた」からこそ、この交響曲の1878/80年以降の改訂版や、交響曲第8番の第2稿諸版のような完成度の高い傑作への芸術的な昇華を、なし遂げられたのだと思います。
人間は、環境、社会、他人などとの相互作用により生きています(生かされています)。周囲も自己も、「複雑系」や「カオス」的に、あるいは量子力学の「確率論」的に、絶えず揺れ動いています。その変化の中では、罪の定義さえ変わってしまうこともあるでしょう。
人間は「ぶれる」からこそ面白いのだと、あえて言ってみたいです。
恋愛も、そう、クララ・シューマンの心もです(笑)。

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
>1974年の第1稿で演奏して欲しい気もしますが・・・。
確かにそうですね。最初に鳴った音となるとそういうことですね。
>人間は「ぶれる」からこそ面白いのだと、あえて言ってみたいです。
おっしゃるとおりです。まさに「1/fゆらぎ」ですね。自然、宇宙とはもともとfuzzyなものですものね。
クララも!(笑)

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