情熱の国スペイン。池川兄弟・兄のヒロさん(池川寿一氏)によるフラメンコ・ギターを聴いた。スパニッシュ・ギター一本での「うねり」のある熱いパフォーマンスとバイレ、ローラさんの迫真のフラメンコ・ショー。生演奏ではほとんど初めての体験に近いと記憶するが、ラテン民族、特にジプシーのもつ力強さと、哀愁感が入り混じった心の襞にこびりついた汚れを掃除してくれるような爽快感をもたらす超近接ライブだった。
下北沢フェアグラウンドで催された「ベルビュー・サロン#1」にお邪魔する。友人のちっきー君が「スクーリング・パッド」で得たネットワークを中心に見知らぬ様々な人々が行き交う場を提供しようと始めた会の第1回目。有機野菜を中心の美味しい「野菜料理」を存分にいただき、これまた美味しい赤ワインに舌鼓を打ちながら、初対面の方々と楽しく交流させていただいた。こういう方々が集まる場所は本当に熱い。ちっきー君、ありがとう。また機会をみて参加したいと思います。
心に直接届くフラメンコ・ギターの響きに触発されてか、久しぶりにスペイン音楽を聴きたくなり、イエペスのギターを聴こうか、それとも普通にフラメンコ音楽を流してみようか、あるいはアルベニスのピアノ音楽でも聴いてみようか散々迷った挙句、取り出したのはマヌエル・デ・ファリャのバレエ音楽。
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」全曲&「恋は魔術師」全曲
コレット・ボーキー(ソプラノ)
ユゲット・トゥランジョー(メゾソプラノ)
リヒャルト・ヘーニッヒ(ソロ・バスーン)
シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団
昨日採り上げたモーリス・ラヴェル同様、ファリャもディアギレフ率いるバレエ・リュスのことを抜きには語れない。まずはディアギレフの委嘱により成立した「三角帽子」。序奏からもうすでに熱いスペイン色の空気が立ち込める。僕はこのバレエを生で観たことはない。基本的にバレエ音楽はバレエを観ないことには始まらないと認識するが、耳だけで十分楽しめる刺激的な音楽。そして、ファリャの出世作となった「恋は魔術師」-フラメンコを髣髴とさせるスペイン情緒豊かな名作。ディアギレフはこの舞台を観て感動し、前述の「三角帽子」を依頼したといわれている。
偉そうな言い方だが、デュトワはフランス音楽、そしてロシア音楽をやらせると極めてツボにはまる。このファリャの二大バレエ音楽もひょっとするとなかなか彼の右に出る者はいないんじゃないかと思わせるほど堂に入り、かつ洗練された味わいを持つ。単に土俗的なだけでなく洒落た肌触りの音楽とでも表現しようか・・・。
「愛の悩みの歌」
ああ、
私には自分の気持ちがわからない
自分に何が起きたのかもわからない。
あの悪いジプシー男が私を見捨てると
燃えるろうそく
嫉妬の炎は
私の血を熱く燃やす!
ああ!川の音は何ていってるの?
(天 露雄・訳)
おはようございます。
デュトワ&モントリオール響の素晴らしさを誰よりも認めつつ(私も昔、来日公演で生演奏を聴き、その美しさに感動しました)、あえて異論を唱えます(笑)。
あくまでCDでの話ですが、ラヴェルでは昨日のクリュイタンス盤に負けていますし、ファリャのこの2曲は、何といってもアンセルメ&スイス・ロマンド管盤でしょう(オケの技術の問題ではありません)。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/765066
どこがどう違うかは、新しく導入された高級オーディオで確認していただくしかないのですが、1950年代から60年代初頭って、何であんなに味わいのある名録音が多かったのだろうと、最近CDやSACDのリマスター盤を聴いていつも感心します。ミュンシュも、モントゥーも、クリュイタンスも、ライナーも・・・、やっぱり録音だけでなく、根本的に指揮者やオケの「質」が違っていたんでしょうね。
なお、デュトワ&モントリオール響の愛聴盤は私も数多くありますが、オケ版のピアソラなんか聴かれたことおありですか?とてもいいですよ!
http://www.hmv.co.jp/product/detail/17780
>雅之様
おはようございます。
異論ありがとうございます(笑)。
確かにそうですね。おっしゃるとおりです。ラヴェルはクリュイタンスですし、ファリャもアンセルメです。「現在」という言葉を付け加えるべきでした。
>ミュンシュも、モントゥーも、クリュイタンスも、ライナーも・・・、やっぱり録音だけでなく、根本的に指揮者やオケの「質」が違っていたんでしょうね。
まさに!特に最近のSACDとかリマスター盤はびっくりするような音質ですよね。
オケ版のピアソラはスルーしておりました。聴いてみたいです。
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