マルキ指揮アカデミア・モンティス・レガリスのヴィヴァルディ「モテット集」(2001.10録音)を聴いて思ふ

vivaldi_mottetti_montis_regalis生きとし生けるものはすべて同じ空気を分かち合って生きている。
その意味では、あらゆるものが平等の中に在る。何より「信じること」が大切だと僕は思う。

観照する人が感じやすい心を持っていれば持っているほど、その人はこの調和を見て、わき起こる恍惚感にいっそう深く身をひたす。すると快く深い夢想に感覚もひたされ、うっとり酔いしれて、この美しく広大な体系に没入して行き、それと自分が一体になったように感じる。そうなると個々の対象はいっさい眼に入らない。全体のなかでしかなにも見えぬし、なにも感じとれない。なにか特別の事情が生じて考えがせばめられ、想像力が一定の範囲に封じこめられないかぎり、全体的に把握しようと努めてきたこの宇宙を、部分的に観察できるようにはならない。
それがまさに私に自然に起こったことなのだった。
ルソー著/佐々木康之訳「孤独な散歩者の夢想」(白水社)P97-98

清澄で、癒しに溢れる「モテット」。
アントニオ・ヴィヴァルディの宗教作品は、さすがに彼が15歳から聖職者になるための教育を受けているだけあるのか信仰心篤く、敬虔な明朗さを持つ。調和とそれに付随する夢見心地の恍惚感。僕たちは各々大宇宙の一片であり、ヴィヴァルディの作品たちも同じく一片であることを知るべし。

ヴィヴァルディ:
・コントラルト、弦楽器と通奏低音のためのモテットト短調RV629「闇の恐怖の長い苦しみ」
・ソプラノ、弦楽器と通奏低音のためのモテット変ホ長調RV631「おお天にても地にても清きもの」
・コントラルト、弦楽器と通奏低音のためのモテットヘ長調RV633「あなたがたの聖なる元首に」
・ソプラノ、弦楽器と通奏低音のためのモテットイ長調RV623「草原にて歌え」
・コントラルト、弦楽器と通奏低音ためのモテットト長調RV628「汝ら不屈に戦うべし」
・ソプラノ、弦楽器と通奏低音のためのモテットホ長調RV630「まことの安らぎはこの世にはなく」
アンケ・ヘルマン(ソプラノ)
ラウラ・ポルヴェレッリ(メゾソプラノ)
アレッサンドロ・デ・マルキ指揮アカデミア・モンティス・レガリス(2001.10録音)

ソプラノのアリアの清純な響き。ホ長調のモテット「まことの安らぎはこの世にはなく」の美しさはいかばかりか!

まことの安らぎはこの世にはなく、
苦渋なき真に純粋なる安らぎは
慈愛に満ちるイエス、御身の中にこそ。

苦悩と痛苦にはさまれても
魂は幸福に生きる
しみひとつない愛を待って。

また、最後の「ハレルヤ」の神々しさ!
自然と一体になることが大切だ。

自然は立派やね。
わたしは日記をつけておるけれども、何月何日に花が咲いた。何月何日に虫が鳴いた。
ほとんど違わない。規則正しい。そういうのが法だ。法にかなったのが大自然や。
法にかなっておる。だから自然の法則をまねて人間が暮らす。
人間の欲望に従っては迷いの世界だ。真理を黙って実行するというのが、大自然だ。
(曹洞宗大本山永平寺第78世貫首・宮崎奕保)

アントニオ・ヴィヴァルディのモテット集で一興。世界は真に素晴らしい。

 

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