灯台下暗し

rigoretto_giulini.JPG問題は個々にあるのではなく、関係性に潜んでいるんだということをあらためて意識した。昨日の渋谷でのミーティングの際も、話をしている途中からそういう「考え」がふと降りてきて、「関係性」に焦点を絞って人間教育をやってみろという天の声が聴こえてきたような気がした。十数年来の知己が伴侶のことで問題を抱えているようで相談を受けた。今に始まったことではないゆえ、いつものことかと楽観的に考えればそれはそれで済むことなのだが、それにしても同じことを何度も繰り返すというのは根底には必ず何か「問題」が潜んでいるからなのだろう。これまでも時に相談を受けてきたが、個々の問題だと考えていたゆえその本人のカウンセリングをして問題を解決しようと躍起になっていたが、それもどうやら「関係性」に問題があることがようやく明らかになったように思う。そう、むしろ相談をしてきた友人のほうに問題が潜んでいるのではないかと。

実際に目に見えて問題を抱えているのは相手のほうだが、それが夫婦の場合問題の原因を作っているのは自分かもしれないと思うことって大事だろう。灯台下暗し。「関係構築力」を確認し、自分の言動を振り返り、反省、少なくともコミュニケーションの深度を高くすれば自ずと解決の方向に向かうように思うのだが、どうだろう・・・。こういう場合、得てして相談者の方にこそ問題があるのではないかと思うのだ。

夜、ちっきー君が主催する下北沢ベルビュー・サロン#2に出掛ける。美味しい食事に舌鼓を打ちながら、初対面の方々としばし歓談。本当にいろんな人たちが出入りされている。
帰宅後、久しぶりにオペラをと思い、取り出したのがヴェルディ作品。

ヴェルディ:歌劇「リゴレット」
プラシド・ドミンゴ
ピエロ・カプッチッリ
イリーナ・コトルバス
ニコライ・ギャウロフ
ウィーン国立歌劇場合唱団
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ほか

ヴェルディの音楽は常に「外」を向いている。軽すぎず、重すぎず、それでも重心のしっかりした音楽造りは、決してイタリア・オペラ好きではない僕でも十分に楽しめる内容を持つ。若い頃、特にワーグナーをはじめドイツ・オペラにかぶれていた時期は見向きもしなかったが、歳をとるにつれ不思議にその「良さ」が身に染みる。ただし、それほど追求したわけではないので、このジュリーニ盤が一般的にどのように評価され、ヴェルディ・オペラの解釈としては正当なのか異端なのか、そこまでは残念ながら勉強不足で知らない(指揮者ジュリーニに関してもひょっとしたらこの音盤以外所有しないかもしれないというくらい疎い)。
まぁ、聴いていて心地良ければそれでいいのだ。
やっぱり僕は言葉(物語)よりも音楽を重視するなぁ。ヴェルディの音楽は開放的で明るく、とても素晴らしい。

オペラのストーリーというのは大抵が人間(あるいは神々など)同士の関係性の妙味から出来上がっている。そこに恋があったり、裏切りがあったり、あるいは嫉妬があったり、全ては喜怒哀楽から成り立っている。ともすると予定調和的な内容(ハッピーエンドであれ悲劇であれ)が多いことは、それが当時の一般大衆の娯楽であったことを考えると、「ウケル」ものでなければならなかっただろうゆえ仕方がないといえば仕方がないが、そういう先読みできるところが物足りなさを感じるところ。

4 COMMENTS

雅之

おはようございます。
このジュリーニ指揮の「リゴレット」のLP(当時)は、確かレコ芸の1980年12月号で、月評では黒田恭一、高崎保男、鼎談では柴田南雄、三浦淳史、村上陽一郎、各氏が大絶賛されていて、レコードアカデミー賞の候補にもなりました(結局その年度の同賞オペラ部門は、カラヤン&VPOの「アイーダ」でしたが・・・、ちなみに大賞はバーンスタイン&VPOのベートーヴェン交響曲全集)。私も当時はレコ芸を全面的に信じていましたから(笑)、早速このLPを購入し、対訳を読みながら、一生懸命聴いて曲を覚えようとしたものです。
しかし、後年、同じジュリーニ指揮1966年11月19日のフィレンツェにおける、フィレンツェ5月音楽祭管弦楽団、パヴァロッティ(マントヴァ公爵)他との生命力溢れるライヴのCDを聴いてから、もう1970年代後半以降のジュリーニ盤には、戻れなくなりました。言葉はキツイですが、「月とスッポン」と言わざるを得ません。
だいたいジュリーニについては、80年代初頭、彼の指揮するロス・フィルを絶賛する人が多かったのが、当時から全く理解出来ませんでした。ブラームスの1番など、82年に実演を聴きましたが、最も私の好みとは最も遠いものでした。指揮は重苦しいし、オケは西海岸的で深みが無いし、学生オケのほうがよっぽどマシだと思ったものでした。このコンビのブラームスの1番や2番のCD、HMVなどのユーザーレビューでは未だに絶賛している人が多いのが不思議です。録音もデジタル初期の固いものですし・・・(但し彼の最晩年、バイエルン放送響とのライヴ録音には、大好きなものが何点かあります)。
ということで、ご紹介の「リゴレット」、歌手に不満は無いのですが、ジュリーニの指揮が好きになれませんので残念ながら愛着が湧きません。私の母が死んだ、1979年の録音ということ以外には・・・。

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岡本 浩和

>雅之様
ジュリーニに関しては、以前飲みの席でお話したように、僕自身もまったく愛着を感じません。1枚も音盤を所有していないかと思ってましたが、何と「リゴレット」を発見してしまいました(笑)。ただ、ヴェルディのオペラは僕の苦手分野で、ほとんど研究不足ですし、聴き足りません。よってそもそもこういうブログで採り上げること自体資格を欠いているわけですが・・・。
おっしゃるとおり、歌手は完璧ですね。どういう意図でこの音盤を購入したのか記憶にありませんが、間違いなく歌手で決めたのだと思います。
80年代のロスフィルとのブラームスも、当時京都の十字屋でかかっており、それを聴いた瞬間「趣味じゃない」と一蹴した記憶があります。それでも最晩年のバイエルン放送響との演奏には良いものがあるということでしたら、いずれ聴いてみたいとは思います。これは!という音盤がありましたらぜひご推薦ください。

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ふみ

あえて範疇外のイタオペにあえてコメントを(笑)といってもジュリーニに対してですが。。。
ジュリーニなら是非ヴェルディのレクイエムをお聴きになってみて下さい。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/700862
僕はヴェルレクはあまり好きな曲ではありませんがジュリーニ盤は実に素晴らしい演奏です。ジュリーニの向きはやはり宗教曲や声楽を伴った管弦楽作品にあるかなぁと思います。少しメンゲルベルクの影を感じる時がたまにあるのは僕だけでしょうか?

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岡本 浩和

>ぷみ君
おはよう。
ジュリーニのヴェルレク・・。未聴だけど、面白そうね。聴いてみたいです。
>ジュリーニの向きはやはり宗教曲や声楽を伴った管弦楽作品にあるかなぁと思います。
なるほど、参考にしてみるよ。まぁ、ジュリーニを追究しようとしているわけではないのであれこれ聴いてみたいと思ってるわけじゃないけどね(笑)。

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