3度目の正直

schuricht_decca_recordings.jpg本日、新大久保にて東京「輝き塾」。無事成功裡に終了。今回はご参加いただいた皆様だけでなく主催の株式会社ゴトウ経営後藤会長にも喜んでいただけたようで万感の想いである。
1回目は3月。滋賀ダイハツ販売株式会社での「エクセレント後継者養成塾」。初めての場所ではもちろん緊張する。緊張の余り、抽象的・学問的な話が多かったようで、反応はいまひとつ(のような気がした)。会長からは「岡本さんの話は学者の話のようだね」というアドバイスを受けた(より良くするための忠告をいただいたのだと解釈する)。そして、2回目は先月の大阪「輝き塾」。僕的には決して難しい話をしたつもりはないのだが、それでもわかりにくかったようで、いくつか質問をいただいたものの、不甲斐ない出来だった。そして、今回。若輩者の拙い話を一生懸命聴いてくださった皆様に感謝すると同時に、いくつもの質問をいただき、その意味では僕の真意が「伝わった」のだと理解した。ようやくである。もちろん、過去2回の反省を生かし、より簡潔な、そして具体的な話をするよう心がけた。お陰さまとはこういうことをいうのだろう。

それにしても「3」という数字の不思議なことよ。古来、日本には「石の上にも3年」という諺がある。「3人寄れば文殊の智慧」ともいう。逆に「女3人集まれば姦しい」とも表現する。そう、「3」は調和であり、また「乱れ」の数でもあるのだ(2度あることは3度ある、ともいう)。1度目で感覚を掴み、2度目で失敗し、そして3度目で心を鷲掴みにする。これが「人間力」の醍醐味ではなかろうか。口を酸っぱくして訴えるが、何事も続けることである。成功の秘訣は継続にあり。

第3番と名のつく音楽は腐るほどある。星の数ほどある楽曲の中で、「3」という数字をもらった音楽には名曲が多い。ベートーヴェンの「エロイカ」、ブラームスのそれ、そして昨日採り上げたマーラーの第3番、さらにはブルックナーの「ワーグナー」交響曲、などなど。作曲家も最初の音楽で先輩を模倣し、2番目の音楽で冒険をしつつ多少の失敗をし、3番目で本格的に巨匠の仲間入りをするのだろう。ともかく第3番を聴きたまえ。

シューマン:交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」
カール・シューリヒト指揮パリ音楽院管弦楽団(ロンドンレコードMZ5017)

schuricht_schumann.jpg暗鬱としたデモーニッシュな翳りのあるシューマンの楽曲の中でも、一際明るく開放的な音楽がこの「ライン」交響曲。まずはCDで、シューリヒト晩年の北西ドイツ交響楽団とのステレオ録音を聴く。シューリヒトらしい颯爽としたいかにも即物的な表現。それでも魂がこもるとこれほどの感動を与えるのである。しかしながら、シューリヒトの「ライン」交響曲には別格の音盤が存在する。僕が「ライン」を知ったのはこの指揮者のMZ5017というロンドンレコードが発売した1枚のLPにて。モノラルながら音質も上々で、全盛期のシューリヒトの名棒捌きが聴かれる、とっておきの1枚。カップリングの第2交響曲も座右の音盤。
この録音はCD化もされているが、それでもやっぱりLPに軍配を挙げる。アナログ・レコード偉大なり。第3番偉大なり。

追記
このシューリヒト・ボックスの中の同盤に収められている「マンフレッド」序曲は途轍もない名演奏。Scribendumのこのセットは廃盤になったのだろうか・・・?惜しい。


3 COMMENTS

雅之

おはようございます。
シューマンの「ライン」は、作曲順では4番目の交響曲ですから、純粋に「第3」ではないですね。それでも第一楽章、第二楽章は3/4拍子ですし、「3」に縁がある曲なのは事実です。
ご紹介の、シューリヒト&パリ音楽院管弦楽団のシューマンは魅力的ですね。シューリヒトの指揮は飄飄としていて、一見何もしていないようでいて、じつは隠し味を沢山施していて、物凄い譜読みの深さを感じます。マーラー盤をベースに、レイボヴィッツと同様のオーケストレーションの変更も行っていますね。また、ベートーヴェンの「田園」でもそうですが、このオケの木管楽器の響きにも聴き惚れます。おっしゃるように、この録音もLPで聴きたい筆頭にあげたいものです。
シューマンで「3」に縁がある曲のある曲では、3番目に作曲されたピアノソナタ第2番を、最近よく聴いています。「のだめ」がコンクール本選で「執拗なまでのシンコペーション」に苦戦していた、あの難曲です(原作では第9巻)。こういう曲を選ぶあたり、やはり「のだめカンタービレ」は相当マニアックなお話だと思います。この曲の名盤って、シューマン好きの私でも中々思い付かないくらいですから・・・。
※昨日コメント欄でご紹介の、山岸涼子氏の「日出処の天子」は、残念ながら未読ですが、面白そうです。日本史が好きで、この時代に興味がありますので、ぜひ読んでみたいです。

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雅之

×シューマンで「3」に縁がある曲のある曲では
○シューマンで「3」に縁がある他の曲では
すみません。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>作曲順では4番目の交響曲ですから、純粋に「第3」ではないですね。
あ、そういえばそうですね。それでも「3」という数字を託されたことに意味があるだろう、ということでご勘弁を(笑)。
>マーラー盤をベースに、レイボヴィッツと同様のオーケストレーションの変更
さすがシューマン研究家ですね。そういう緻密な解釈のところまでは聴きこんでおりませんで、とても勉強になります。マーラー盤をベースに改変する指揮者って珍しいんですか?
>オケの木管楽器の響きにも聴き惚れます。
なるほど、確かにそうですね。
>3番目に作曲されたピアノソナタ第2番を、最近よく聴いています。
第2ソナタですか!良い曲ですよね。「のだめ」で有名になったように思います。僕はアルゲリッチ盤しか持ってませんが、おススメはありますか?(なかなか思いつかないとはいえ、ご教示くださいませ)
「日出処の天子」は面白いですよ。ただし、終わり方があまりに唐突であっけなく、その点では物足りなさを感じますが。
それに相当脚色しているでしょうね。何せ厩戸王子がホモセクシャルなのですから(正確にはバイセクシャルかもしれません)。

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